メルセデスAMGの首脳陣たちは、だんだんエスカレートしつつあるチームメート同士のバトルにどう対処すべきか頭を悩ませながら、約1か月の夏休みを迎えることとなった。
先週末のF1ハンガリーGP(第11戦)はレッドブルのダニエル・リカルドの優勝で終わった。だが、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、もしルイス・ハミルトンがチームから明確に、かつ何度も出されていた指示に従っていたら、恐らくはニコ・ロズベルグが一番大きいトロフィーを頭上に掲げていただろうと認めていた。
ドイツのメディアによれば、ハンガリーGP決勝後の記者会見においてレース結果についての質問を受けたロズベルグは冷静を装い、落ち着いた物腰で、物議をかもすことになるような発言は控えていたものの、キャップを後ろ向きにかぶるといういつもの彼には似つかわしくないスタイルで、舌をペロっと出してみせたという。
ハミルトンがチームの指示を受け入れなかったことで、ロズベルグが勝利するチャンスを失ったとヴォルフが語ったのはその通りだと思うか、と尋ねられたロズベルグは最初次のように答えた。
「それはあくまでも仮定の話だからね。僕には分からないよ」
だが、ロズベルグはそのすぐ後にその言葉を訂正し、次のように続けた。
「あ、いや、トトが言ったことはその通りだよ、彼はすべてのデータに目を通していたんだ。彼の意見は正しいと思う。彼はそれについて一番よく分かっている人物だからね」
言葉は穏やかだったものの、実質的にはハミルトンによって自分が勝つはずのレースを妨害されたと認めたロズベルグは、さらに次のように続けた。
「ルイスはそうするようにとの指示を受けていたにもかかわらず、僕を前に行かせてくれなかった。それは明らかにいいことではないよ」
そう語ったロズベルグだが、それ以上のコメントを行おうとはしなかった。
「悪いけど、このことについてはもうこれ以上何も話したくないんだ。ルイスが何と言っているかは知らないけれどね」
ロズベルグは、最後に次のように付け加えた。
「みんなも何が起こったかは分かっているよね。すごく明白だよ。全部無線で聞こえていたんだから。でも、この件に関しては内々に話をするほうがいいと思うんだ」