F1第11戦ハンガリーGPのパドックでしきりに飛び交っているうわさがある。メルセデスAMGがセバスチャン・ベッテル(レッドブル)獲得に乗り出したというものだ。
この憶測に火を付けたのは他でもないレッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコ博士。マクラーレンやメルセデスAMGといったライバルの大チームがベッテルに巨額の契約金を提示したと匂わせたのだ。
「ヘルムートがどんな情報源を抱えているのか知らない。あるいは何の根拠もないかもね。いずれにしろ、かなりいいかげんじゃないかな」と、ベッテルは24日(木)、笑って話していた。
それと同時に、ベッテルがはっきりと否定しないのも気にかかる。
「僕は勝負に集中しているし、仕事で忙しいんだよ」と、ブダペストで語るベッテル。「何せクルマを速くするのが難しくてね」
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)と同様にベッテルも2015年まで現チームとの契約が残っている。だがトップチームやドライバーに関する限り、そんなものはお構いなしに契約オファーが舞い込み、接近も試みられる。
「どんなオファーも検討はする」と報道陣に打ち明けるベッテル。「だからといって、何も変わらないよ。そもそも交渉ごとは人前で話さない」
「僕は今のチーム(レッドブル)で大満足だ」とドイツ『Der Spiegel(シュピーゲル)』紙に話すベッテル。「今は何の文句もない」
ベッテルの目に、となりの芝は青く見えるか見えないか。いかに本人はきっぱり否定しても、何かが違って聞こえる。
例えばこうだ。メルセデスのロゴ(三本矢の星印)は「セクシーか」と質問されると、ベッテルは次のように答えた。
「今はノーだね」と、ドイツ『Bild(ビルト)』に話すベッテル。「だって、彼らは常に僕らの前にいるじゃないか」
「でも星がタイトルに導いてくれるのなら、それはきっと大惑星のような存在なんだろう。常に高みを目指すのがスポーツマンに必要な姿勢だからね」と、ベッテル。
さらに彼は、トト・ヴォルフあるいはニキ・ラウダのメルセデスAMG首脳など、パドックの大物たちと交渉を始めたのではとする疑問も否定しきれなかった。
「相手が誰であれ、今日のような日は、より接触しやすいんだ。互いに知り合いだしさ。そもそもパドックで見慣れない顔の人に出くわすことはないから」と、ベッテルはいう。
「人知れず誰かにコンタクトを取る方法なんて、たくさんあるよ」