1960年代から80年代にかけてフェラーリで活躍した79才のイタリア人デザイナー、マウロ・フォルギエリがF1をおもしろくするヒントを提示した。
テレビ視聴率の低迷が叫ばれている2014年、もっぱら原因に上げられるのは新エンジン規則だ。V8自然吸気の咆哮(ほうこう)は消え、小つぶでおとなしいターボが取って代わった。
だが、逆にフォルギエリは新しい「ハイブリッド」時代のF1を支持している。
「大きな自動車メーカーはどこもハイブリッド車を欲しがっている。同じ距離を以前の70%、あるいはそれ以下の燃料で走れるのだから、それはいいことだと思う」と、フォルギエリは『motorline.cc』に語る。
「私は、燃費を毎周モニターしているFIA(国際自動車連盟)のやり方に同調できない」と、フォルギエリ。
フェラーリで312シリーズを手がけニキ・ラウダをF1世界タイトルへと導いた伝説的デザイナーは、さらに続ける。「あくまで私の個人的な意見だが、F1は馬力をみせつけるショーなのだから、燃料を制限する規則はスポーツ面から認められるものではない」
追い越しを助けるリアウイングのDRSは相変わらず昔ながらのF1を愛する人に嫌われるが、当然のごとくフォルギエリもこの装置に反対だ。
「DRSなんか無くしてしまえ」と、手厳しい。「DRSはサ・イ・テ・イだ」
「私は今日のマシンにみられる、あらゆる空力が嫌いだ。DRS無しで普通に追い越しさせればいい。なぜそのために空力を減らさないのか、私には理解できん」
「後方との差が一秒以内になったら敵に追い越されるのを見守るしかないなんて、間違っている」
「世界チャンピオンたるもの、助けなしに相手を追い越すくらいでないと務まらない。さもなければ王者失格だ」
さらにレースをおもしろくする方法として、フォルギエリはブレーキの変更を提案する。
「いったい何台の市販車がカーボンディスクを装着しているかね?」と、疑問を投げかけるフォルギエリ。「そもそもF1で使われているのは、なぜだ?」
「もしF1が普通のスチールディスクを使えば、制動距離は倍になる。それで追い越しは、よほど楽になるだろう」