今週末にホッケンハイムリンクで開催されるF1ドイツGP(20日決勝)の車検がもうすぐそこまで迫ってきているが、F1界に起こった新たな技術問題に関してはまだ先が見えない状況だ。
先日、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のF1競技委員長であるチャーリー・ホワイティングがFRIC(フロント・リア・インターコネクテッド)と呼ばれるシステムが非合法の疑いがあると警告したことで、全チームの合意がないままドイツGP以降もこれの使用を続けた場合は、抗議を受ける可能性も出てくるだろうとの懸念がチームの間に広がっていた。
FRICとは、油圧システムで前後のサスペンションを相互的にコントロールするもので、現在は禁止されているアクティブサスペンションと似たような効果をもたらすと言われており、現状ではほとんどのチームがこのシステムを採用していると考えられている。
そして、F1パドックにおいては、FIAが突然このシステムの取り締まりに動いた理由についても、さまざまなうわさがささやかれている。
だが、いずれにしろホワイティングの立ち位置は明らかであり、各チームには決断が強いられることになる。すなわち、全チームで何らかの合意をするか、あるいは一部のチームが異議をとなえる可能性を残したままにするかだ。
このため、これまでの数日間にわたって、全チームでの合意に向けた動きが進められていた。
ロシアの『f1news.ru』が伝えたところによれば、11チーム中7チームが非公式に、FRICは2015年から禁止することとし、今季いっぱいはそのまま継続使用することで同意したという。
その7チームとはフェラーリ、レッドブル、メルセデス、マクラーレン、マルシャ、ロータス、ウィリアムズだとされている。
残るチームはトロ・ロッソ、ケータハム、ザウバー、フォース・インディアだ。
態度を保留しているこれらのチームにあって、フォース・インディアについては2014年型車にFRICを搭載すらしていないとのうわさもある。
『Sky(スカイ)』から、これに関しては今後抗議を行うつもりかと尋ねられたチーム最高執行責任者(COO)のオットマー・サフナウアーは、「それは、我々がそれを使っているか否かによる」と答え、次のように続けた。
「我々は大多数が望むことを行うつもりだ。だが、今回は大多数ではなく、全員の合意が必要だ」
「私は、全チームの合意がとれる可能性はゼロだと思う。FIAが禁止すべきだと考えるならそうしようと言う人間が出てくるだろう」
一方、マクラーレンの広報担当者は、「いつものように、われわれは何であれFIAが決定したことに従う」と語った。