今週末のF1第9戦イギリスGPは母国レースだからだろうか、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が僚友ニコ・ロズベルグとの場外バトルを再燃させるような発言を行っている。「実力」は自分のほうが「上だ」と宣言したのだ。
両メルセデスAMGドライバーの心理戦はこれが初めてではない。今季残り11戦でロズベルグに29ポイント負けているハミルトンとしては、何としても差を埋めなければならない。
『Daily Star(デイリー・スター)』紙によると、その差のほとんどは2014年に喫した2回のリタイアが原因だと、ハミルトンはいっているらしい。
ロズベルグに同じ災難がふりかかるか、ハミルトンには疑問だ。
「残り11戦で2回、ニコにDNF(途中棄権)を経験してもらわなきゃならないってことだよね。それは無理だと思うよ」と、ハミルトンは話す。
「そんなことに頼っていられない。彼よりいいレースを心がけなければいけないよ。もちろん僕にはその実力がある」
「僕が持つ利点は、まさしく自分の実力だ。僕は天からの贈りものを授かっているんだ。今年は今まで以上にそれを発揮しなきゃ」というハミルトン。
彼はF1のパドックで同じことを説いて回っている。純粋な速さで自分の方がロズベルグより少し上だというのだ。
だがロズベルグには、いかに不利な状況もより明せきな頭脳で乗り切ることがしばしばとの定評がある。
「ニコ・ロズベルグは、必要に応じて速く走るドライバーだ」と語るのは、4度のF1世界チャンピオン、アラン・プロスト。その運転スタイルであれほどタイトルを勝ち取った実力から、「教授」の異名で知られる男だ。
「何よりも彼は非常に賢い」と、プロストはドイツ『Auto Bild Motorsport(アウト・ビルド・モートアシュポルト)』誌に話す。
「マシンにトラブルを抱えた第7戦カナダGPでも、平静を保ってゴールラインに導いた。
そこが違いだよ」
「確かにルイス・ハミルトンのほうが少し速いかもしれない。でもドライバーとしての完成度はロズベルグに分がある」
同じドライバー目線から、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)にも話をきこう。彼は2008年にハミルトンとタイトル争いを演じた過去がある。ほんとうに紙一重でハミルトンに栄冠をさらわれた、あのシーズンだ。ハミルトンの王座は、今まであの一度きりである。
「それが彼の助けになるかどうかは知らない。でも、ニコよりも彼にプレッシャーがかかっているのは間違いないよ」