F1オーストリアGP(第8戦)でセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に発生したトラブルの責任はルノーだけにあるのではなかったようだ。
4年連続F1チャンピオンであるベッテルは、オーストリアGP決勝序盤にクルマが失速。なんとかその後再びペースを上げることができたものの、すでに周回遅れとなっていたことからエンジンの「走行距離」をセーブするためにリタイアしていた。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、それは「エンジンの電気系の問題だったが、まだその原因はつかめていない」とコメントしている。
だが、オーストリアGP決勝直後にメディアからインタビューを受けたときには、ホーナーはエンジンサプライヤーであるルノーを名指しで非難。2014年のルノーの仕事は「許容できない」と語っていた。
しかし、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、オーストリアでのベッテルのトラブルに関して、ホーナーがルノーを責めたのは間違いだったと指摘している。
ルノーのエンジン責任者であるロブ・ホワイトは、ベッテルが、追い抜きをかけるときなどに一時的にエンジン出力を高めるための「オーバーテイクボタン」を押した際、クルマに備えられている「標準電子部品」が、その信号を正しく伝えることに失敗していたのだと認めている。
その「標準電子部品」は、すべてのF1カーに同じものが供給されている。そしてそれを製造したのは、マクラーレンの子会社であるMES(マクラーレン・エレクトロニック・システムズ)だ。
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』の記者であるアルベルト・アントニーニは、「セバスチャンがもっとパワーを出そうとOT(オーバーテイク)ボタンを押したとき、システムが自己防御(モード)のような状態になってしまったのだ」と説明している。
アントニーニは、フェラーリも今季の開幕戦オーストラリアGPにおいてこれと薄気味悪いほどよく似た問題を抱えていたと付け加えている。