2日(水)に、うわさされていたケータハムの売却が正式に発表されたものの、この一件に関しては首をかしげるF1関係者も多い。
マレーシアの格安航空会社エアアジアの設立者であるトニー・フェルナンデスが、ケータハムF1チームの所有権を100パーセント売却したことが明らかとなった。
■新オーナーの正体は?
チームが出したメディア向けの声明には、新たにチームオーナーとなったのは「スイスおよび中東の投資家グループによる共同事業体」であると記されているのみで、その投資家たちの名前は公表されていない。
ある関係者によれば、新ケータハムが今後はかつてHRTに所属したコリン・コレスとマンフレディ・ラベット、そしてミナルディなどでレースをしていた元F1ドライバーのクリスチャン・アルバースによって運営されるものの、新オーナーが「表舞台に出ることはない」という。
■透明性の欠如に懸念を表すジャーナリストたち
これに関し、『Blick(ブリック)』紙のベテラン記者であるロジャー・ブノワは次のように書いている。
「F1パドックの全員がこの新たな投資家たちについて不思議に思っている。公式な声明文には誰の名前も記されていないのだ」
『Times(タイムズ)』紙のケビン・イーソン記者も、ケータハムの新オーナーに関する情報が少ないことには「注意が必要かもしれない」と書き、次のように続けている。
「記憶力のいいF1関係者なら、かつてスイスのアラブ系共同事業体がこのスポーツに乗り込んできたときのことを思い出すだろう」
イーソンが言及しているのは、2009年に起こったBMWザウバー買収問題のことだ。当時、いろいろといわくつきの人物だと言われているラッセル・キングとも関係のあったスイスのカドバックという投資会社が、BMWとの間にF1チーム買収契約を締結したものの、結局それは成立せず、最終的に再びザウバー設立者のペーター・ザウバーに売却するという混乱が起きていた。
イーソンは、次のように締めくくっている。
「ケータハムで長く苦しんできたスタッフたちは、彼らの職場が危機にひんしているだけに、この契約が実体を伴うものであってほしいと願っていることだろう」