今年のフォース・インディアとウィリアムズは、ドライバー市場と縁がなさそうだ。
経営するキングフィッシャー航空が操業停止に追い込まれ、「故意の債務不履行」の疑いからインドで裁判にかけられるなど、厳しい新会計年度を迎えたビジェイ・マリヤ。もはや「富豪」と呼べそうもない身分だが、彼のF1チーム、フォース・インディアの活躍はみごとだ。
「われわれの倍以上、金を使っているフェラーリのようなチームを相手に、安定した争いを展開している」と、インド『PTI通信』に語るのは、チーム代表のボブ・ファーンリー。
「小チームも強豪と戦えることを物語っている」とファーンリーはいう。
今週末に迫ったF1第9戦イギリスGPの舞台シルバーストーンのごく近くに本拠を置くフォース・インディアは、確かに、コンストラクターズ選手権3番手のフェラーリにくらいつく勢いだ。しかも同じく大チームのマクラーレンに大差をつけている。
彼らの2014年型マシンはメルセデス・ベンツ製V6エンジンを搭載している。今年の戦いをリードするパワーユニットだ。そればかりか、彼らは2人のドライバーにも満足気だ。
「私は、チェコ(セルジオ・ペレス)と彼の才能に感心しきりだよ」と、今週語ったマリヤ。チーム一年目のメキシコ人ドライバーを愛称で呼ぶ。
「彼は才能豊かな若者だ。チームの一員にできて嬉しいね」
またマリヤは、ドイツ人ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグも同じく称賛する。フォース・インディアで2人の組合せは、今年が初年度だ。
「ニコ(ヒュルケンベルグ)の資質はF1パドックで高く評価されている」と、マリヤ。「しかも今年、彼は全レースでポイントを上げているのだ」
2015年も安泰なもうひとりのドライバーが、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)だ。フェラーリから移籍して最初の数戦こそバタついたが、ついに第8戦オーストリアGPで、誰もが喜ぶポール・ポジションを奪ってみせた。
先週末はイギリスで恒例の一大モータースポーツイベント、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに出場。1996年にウィリアムズでタイトルを取ったデイモン・ヒルのマシンをドライブ。集まったマスコミに、まだ2年はウィリアムズとの契約が残されていると力強く語っていた。
将来的にDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の選択肢はときかれたマッサは、『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように答えている。「もちろん、それもありだよ」
「実は、F1に残るかどうか定かでなかった昨年、そのことも考えたんだ。でも、あと数年は(F1に)いるつもりさ」