苦しいシーズンが続いているF1エンジンメーカーのルノーに、またまたうわさが持ち上がった。
先週末のF1第8戦オーストリアGPは、ルノーにとって悪夢のようなレースだった。パドックでレッドブルとの別離がささやかれただけでも痛いのに、またしてもセバスチャン・ベッテル(レッドブル)にエンジントラブルが発生。その挙げ句、チーム代表のクリスチャン・ホーナーから激しい叱責を受けたのだ。
「トップ10の7台がメルセデス・ベンツのユーザーだ。それだけいえば十分だろう」と、ホーナー。
ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌が掴んだ情報では、ルノーはメルセデスに比べて40から70馬力も性能が劣っている。
エンジン開発は「凍結」が義務付けられているため、ルノーにできることといったら、メルセデスと戦えるよう規則を緩めてほしいと国際自動車連盟(FIA)に頼むぐらいだ。
「それは無理な相談だ」というのはレッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコ博士。「注力すべきは来年だよ」
ところが今、衝撃的なうわさが浮上。同誌のミハエル・シュミット記者がパドックで聞いた話によると、仏ヴィリ・シャチオンのエンジン製造施設が売りに出されているという。
1シーズンあたりの出費が約5000万ユーロ(69億3,500万円)と「思ったより大きく」、ルノー以外に顧客であるチームも負担するはずが、支払いに遅れが出ているところがあるらしい。
さらに悪いことに、ルノーにとって現在の費用対効果は「そうとう低い」のが現実だ。出てくるのは「文句とマスコミの悪評」ばかりと、シュミット記者は説明する。
英ブラックリーにシャシー部門、同じくブリックスワースにエンジン部門の工場を持つメルセデスAMGのニキ・ラウダは、買い手を探すのも大変だろうと分析する。フランスの労働規則は制限が厳しいのだ。
「フランスの労働時間は、週37時間だ」と、ラウダ。「それに引きかえ、イギリスは週43時間だよ」