F1直下のフォーミュラカーシリーズ、GP2で昨年王者となった25歳のスイス人ドライバー、ファビオ・ライマーが岐路に立たされている。
今季こそレースシートを逃したものの、スイス『Tages-Anzeiger(ターゲス・アンツァイガー)』によると有力なオファーが目の前にぶら下がっているという。
即時効力を持つテストならびに控えドライバーの契約をマルシャがライマーに提示したのだ。
「今すぐにでもマルシャのテストドライバーとしてF1に乗り込めそうだ」と、彼のマネージャー、スベン・オリバー・マンゴールドはいう。
「しかも来年は正規シートまで約束されている」と、マンゴールド。
ただこれには、「8ケタ台前半」というから数千万ドルものスポンサー金持参の付帯条件がライマーについてくる。
この点がライマーには引っかかるのだ。これまで彼には資金面で後ろだてがあった。裕福なライナー・ガンテンバインの存在だ。ガンテンバインは長年に渡って若手ドライバーのライマーに総額1500万ユーロ(約207億円)を投じてきた。
ところが数ヶ月前ガンテンバインは、F1の夢のために金を「これ以上ムダにしたくない」と表明。理由は持参金ドライバーの「病んだ」制度である。
「まるで底なし沼だ」とガンテンバインはいう。「どこかで終止符を打たなくては」
他のチャンスまで手からすり抜けそうな状況にライマーのマネージャー、マンゴールドは、必要な資金をかき集めるため、ほん走している。
「大手のスイス系企業」との交渉は不発に終わったと、ガンテンバインは次のように話す。
「返ってくる答えはいつも同じだ。われわれが支援するのはチームだけで、個人のスポーツ選手は対象外だとね」
そんな中、残された時間はどんどん減っている。
「マルシャは、シルバーストーンのテスト(にライマーが参加し)、さらに次のレースを目指したらどうかといってきている」と、マンゴールド。7月中旬に行われるF1第10戦ドイツGPのことだろうか。
だがもし締切が過ぎてしまったら?「代案としてフォーミュラEがありそうだ」とマンゴールドは語る。電動フォーミュラカーによるFIA(国際自動車連盟)の新たなシリーズを巡っては、多くの有名ドライバーがキャリア再構築を図っているとの報道もある。