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「痛恨の極み」トヨタの中嶋一貴。僚友マシンは波乱のレースで3位確保/ル・マン24時間

2014年06月16日(月)11:37 am

14日(土)から15日(日)にかけてフランスのサルト・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)第3戦であるル・マン24時間レースが開催された。昨年はこのレースを2位で終えているトヨタ・レーシング。今年は優勝を目指して臨んだものの、結局勝利の女神がほほ笑んでくれることはなかった。

■【写真】ル・マン24時間2014
■【写真】中嶋一貴が日本人初のル・マン24時間ポールポジション獲得

長く、過酷な24時間レースにおけるトヨタ・レーシングの戦いを振り返る。(以下、トヨタ・モータースポーツのリリースより)

■中嶋一貴の7号車。首位キープもトラブルで脱落
中嶋一貴、アレックス・ブルツ、ステファン・サラザンというF1経験もあるドライバー3名がドライブしたTS040 HYBRID #7は、ポールポジションからスタートを切り、レースが折り返し点を過ぎるまでは、2位に90秒以上の差をつけてレースをリードした。

しかし、中嶋がドライブ中に予測不能な電気系トラブルに見舞われ、#7は夜明けを待たずにアルナージュコーナーの先で停止。ピットへと戻ることはできず、13時間53分を戦い正式にリタイアを届け出た。

■8号車は序盤に大クラッシュ
一方、3番手グリッドからスタートを切り、同じく勝利への期待がかかっていたTS040 HYBRID #8だったが、スタートから90分後に見舞われた突然の豪雨の中、スリックタイヤを装着していたニコラス・ラピエールがミュルサンヌ・ストレートでの多重クラッシュに巻き込まれ、事実上優勝争いからは脱落してしまった。

このアクシデントにより、#8は大きなダメージを負うこととなったが、ピットへと自力で戻った#8は、チームの迅速な修復作業により、前後のボディカウルと左フロントのサスペンションを交換。およそ50分間のピット作業の後、#8は首位から8周遅れでコースへ復帰した。ほぼ最後尾近くまで後退していた#8だったが、少しでも多くのポイントを獲得すべく追い上げを開始。

レースが8時間を消化したところで、#8はクラッシュに起因する空力的なバランス不調に見舞われ、修復するために8分間ほどのピット作業を余儀なくされた。

■最終的に3位を確保し、ランキングトップを守る
しかし、アンソニー・デビッドソンとラピエール、そしてセバスチャン・ブエミの3名は、着実なペースで順位を上げて、レース終盤にはトップ4まで浮上。ゴール1時間40分前にライバルがテクニカルトラブルに見舞われたこともあり、3位表彰台をその視界に捕らえた。

序盤戦の2時間の不運で、上位フィニッシュから大きく遠のいたように見えた#8であったが、チームの懸命な努力と、終盤戦の2時間で局面が大きく動いたことで、トヨタ・レーシングに3位表彰台をもたらすこととなった。

3位でフィニッシュした#8のドライバー3名は、それぞれ30ポイントを獲得し、2位との差を20ポイントへと広げ、WECのポイントリーダーを堅守した。

■7号車ドライバーのコメント
(中嶋一貴/アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン)
決勝: リタイア、219周、ピットストップ17回、最速ラップ3分23秒112

中嶋一貴
「こういうのを痛恨の極みというのだろうか。言葉が見つからない。我々を支えてくれたすべての人たちに申し訳ない気持ちで一杯だ」

「あの瞬間までは素晴らしいレースをしていたと思っている。良いペースでレースをリードしていた。こういうことがあり得るとは思っていたが、今回実際に起こってしまった。しかし、これがル・マンであり、だからこそ挑戦しがいもあるのだと思う。また挑戦する」

アレックス・ブルツ
「本当に残念だという以外に言葉がない。我々はレースをリードしたが、トラフィックの回避などでも、過度のリスクは冒さないように心がけてきた。運に恵まれた部分もあるが、レースをコントロール下に置きながらリードを広げることができたし、それこそがル・マンでは必要なことだ」

「日中におけるタイヤの性能は抜群だったので、日の出を迎えるのを楽しみにしていた。しかし、それはかなわなかった。レースウィークの早い時期に話したが、我々がル・マンに勝つのではなく、ル・マンが我々を勝たせてくれるのであり、今回は勝たせてくれなかったと言うことだ」

ステファン・サラザン
「メカニック、エンジニアを始め、チームの仲間全員に本当に申し訳なく思う。誰もが皆、今日だけでなく、これまでのあらゆる準備過程で最大限の努力をしてくれた。我々はスタートからずっとレースをリードしていた。TS040 HYBRIDは本当に素晴らしい仕上がりだったので、必要以上の激しいプッシュもせず、リスクも冒さず、無理しない走りに努めた」

「しかし、今年のル・マンでは勝利の女神は報いてくれず、我々をコース上に止めてしまった。我々は最大限の努力と、レースに勝つため万全を期して来たのに非常に残念だ。しかし、ル・マンは長いレースで、何が起こっても不思議ではない。たまたま今日は不運が我々に起こってしまったということだ」

■8号車ドライバーのコメント
(アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)
決勝:3位 374周、ピットストップ31回、最速ラップ3分23秒117

アンソニー・デビッドソン
「本当に波乱万丈のレースだった。我々のTS040 HYBRIDはすべての面においてスピードがあったが、トリッキーなコンディションに翻弄(ほんろう)され、車体に大きなダメージを負ってしまった。そして後方からの追い上げを余儀なくされた」

「今回起きたことは誰にでも起こりえることの一つに過ぎない。こうして表彰台に立てたことに驚いている。アクシデントの直後にはほぼ最後尾近くまでポジションを落としたが、そこから表彰台を獲得出来たということで、速さは示せたと思う。今回のレースでは、勝利はつかむのではなく、やってくるものだった」

ニコラス・ラピエール
「ル・マンでの3位という結果は、序盤に起きたことを考えれば悪くない。#8のクルーのおかげで、我々は世界選手権でのポイントリードを広げることができた。しかし、とても残念だ。#7は週末を通して素晴らしい働きを見せてきて、それに見合うだけの結果が得られても良かった」

「我々は表彰台フィニッシュを果たしたが、それは決して望んでいた結果ではない。トヨタと我々は何年にもわたってル・マンで勝つために戦ってきて、今年は勝てる大きなチャンスだった。それだけに非常に残念な結果となってしまった」

セバスチャン・ブエミ
「ここル・マンには、優勝候補としてやって来たのに、それが勝ちにつながらなかったという点では、私は失望している。しかし一方では、多くの周回数を残してコースへ復帰し、それで3位が取れたのでまだ救われた。アクシデントの直後は、とても表彰台など望めなかったからだ」

「我々は長い道のりを戻って来て、良い仕事をしたと思う。しかし、明らかにもっと行けたと思うので、今日は本当にタフな1日だった。我々はチャンピオンシップでは依然リードしており、少なくとも前向きにはなれる」

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