レッドブルがエイドリアン・ニューイと契約更改。その裏には、主なライバルたちにF1随一の頭脳を横取りされまいとする彼らのしたたかな作戦があったと、ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は伝えている。
この数週間、F1最高の設計者と定評のニューイに対する、あの手この手の売り込みが報じられていた。
たとえばフェラーリは年2000万ドル(約20億4000万円)の契約金を提示したというし、メルセデスAMGもニューイ獲得に興味を示したとされる。
「われわれは何のオファーもしていない」とは、メルセデスAMG会長ニキ・ラウダの弁だ。
いずれにしろ、タイトル獲得率の驚異的な高さからニューイの人気は絶大だ。
だがニューイはニューイで、最近のF1に不満を隠さない。技術規則の縛りがかつてないほどきついのだ。
「いかに知恵を絞ってマシンに個性を与えようとも、できることがどんどん減っている」とニューイ。「これではF1というより、ただの単一カテゴリーだ」
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のミハエル・シュミット記者によると、そんなニューイの興味をつなぎとめようとレッドブルは巧妙な計画を立てたという。ニューイの好きにさせながら、契約には一分の隙もない。
どうやらチームは英ミルトン・キーンズにあるF1基地の近くに新しい技術センターを建てるらしい。そこで行われる革新的な開発プロジェクトを、他でもないニューイが率いるというのだ。
伝えられるところによると、開発は市販車から航空機まで多岐に及ぶ。「サーキットを離れたニューイは、いずれ競争を欲してF1に復帰するだろうといったレッドブルの期待が込められている」とシュミットは読んでいるが、どうだろうか。