F1第7戦カナダGPでは、圧勝を続けるメルセデスAMGにトラブルが発生し、意外にもパワー不足に苦しんでいたレッドブルが優勝をさらう結果となった。
真の勝者はロズベルグ
ドイツの『Die Welt(ディー・ヴェルト)』紙の見出しは、「優勝はリカルド/だが真の勝者はロズベルグ」だった。
2014年開幕以来6戦全勝のメルセデスAMGだったが、カナダGPでは2台両方のエネルギー回生システムにトラブルが出た。
ロズベルグは、エネルギー回生システムからのパワー160馬力分を失ったが、にもかかわらず2位フィニッシュを果たした。
「メルセデスエンジンがいかに優れているかの証しだ」とルノーエンジンを使うレッドブルの最高技術責任者エイドリアン・ニューイも舌を巻いていたと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は伝えている。
落胆するハミルトン
ロズベルグにとっての朗報は、タイトルを争うチームメートのルイス・ハミルトンが同様のトラブルからリタイアしたことだ。これによってロズベルグは一気に22ポイントの差を築いた。
ハミルトンは「1ポイント1ポイントが重要だ」と落胆している。
「これで、僕はリタイアが2回でニコは0回だ。でも僕たちは1つのチームとして学んでいる。きっと今日起きたような問題はもう起きないと確信しているよ」とハミルトンは語る。
初優勝のリカルド
メルセデスAMGにトラブルが出たことで、レッドブルはダニエル・リカルドがF1初優勝を遂げ、セバスチャン・ベッテルが3位表彰台を獲得した。
「メルセデスAMGの問題に乗じることができて良かった」とリカルド。
「問題を抱えながら、それでもメルセデスAMGが僕たちを倒していたら、がっかりだったと思うよ」
好機をつかんだリカルドを、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコもたたえる。
「彼を非常に誇りに思う。彼を選んだわれわれの決断がまさに正しいものだったことを証明してくれている」とマルコはドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に語った。
苦戦の続くフェラーリ
ルノーエンジンが優勝したことで、新たなV6ターボ時代でまだ優勝していないのはフェラーリエンジンのみとなった。
フェラーリでは、フェルナンド・アロンソが6位、キミ・ライコネンが10位にとどまっている。
「レッドブルの優勝は驚きだ」とアロンソはレース後にスペインの記者らに語った。
「努力を続けることが大切ということだ。F1では何でも起こり得るんだからね」
「冬のテストのあとでレッドブルがこのレースで優勝すると言っても、信じられなかっただろう。彼らは大きく進歩したんだ」
これから数戦の個人的な目標を聞かれたアロンソの答えは「チームメートの前でフィニッシュして帰ること」だった。