F1で金曜日に2回行われているフリー走行を、2015年から1回に削減する案が検討されている。
F1カナダGP(8日決勝)が行われているモントリオールで6日(金)に、主要チームなどからなるストラテジーグループですでにこの案が承認済みであることが明らかになった。
『BBC』は、FIA(国際自動車連盟)会長ジャン・トッドと、F1最高責任者バーニー・エクレストンもこの案を支持していると伝えている。案が決定されるには、FIAの世界モータースポーツ評議会の了承を得る必要がある。
目的はコスト削減
この案によると、木曜日のメディア向け活動は一切取りやめ、金曜日は90分間のフリー走行を午後に1回のみ行うという。その目的は、コスト削減だ。
「理由は、マシンに対する週末の作業量を大幅に減らすことにあると思う。また、パーツの消費量も削減できる。特にパワーユニットだ。全チームにとって主要なコストだが、特に小規模チームにとっては負担になっている」とメルセデスAMGの技術部門のエグゼクティブディレクター、パディ・ロウは説明している。
小規模チームには反対の声も
しかし、小規模チームの中には反対意見もある。
「フォース・インディアの立場としては、これがコスト削減になるとはまったく思えない」とテクニカルディレクターのアンドリュー・グリーンは反対している。
金曜午前のフリー走行は若手ドライバーをテストする場であり、そのためにスポンサーマネーを得られる「収入源」だとグリーンは説明する。
「それを失えば、相当の打撃になるだろう」とグリーン。
また、ザウバーのトラックエンジニアリング責任者ジャンパオロ・ダラーラは、コースを走行する時間は小規模チームにとって「非常に貴重」なものだと話している。
「広い意味でシミュレーションの時間がほかのチームより限られている。従ってコース上の時間は非常に重要だ」とダラーラは訴える。
メディアの批判「冗談みたいな話」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌のミハエル・シュミット記者は、巨大な予算を使うトップチームがコスト削減の方法を決めるのは「冗談みたいな話だ。彼らのほとんどが節約などしたがっていないのだから」と批判している。
またシュミット記者は、エンジンの値段は固定であり、この計画でそれが減ることはなく、逆に、木曜のメディア向け活動がなくなることをスポンサーは歓迎しないだろうと見ている。
メルセデスAMGのロウはこう語る。「まだ決定ではない。細かい部分をまとめて最終的に承認されるまで、丸1ヶ月ある。だが、趣旨は節約することだ」
「これが節約にならないとチームが感じるなら、もちろん見直される可能性もある」