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数々の不満を招いた今季のF1。最新の不満は?

2014年06月04日(水)11:36 am

2014年のF1パドックには多くの不満が渦巻いている。

その中で最たるものは、財政的に困難な状況に置かれ、グリッド後方に沈む小規模チームたちによるコスト制限ルール導入がF1有力チームによって構成された「戦略グループ」によって廃案とされたことに対する怒りだろう。

さらに、F1最高責任者のバーニー・エクレストンやいくつかのサーキットのレース主催者たちは、今年から導入されたV6ターボエンジンの音が小さくなったことに対し、大きな不満の声を上げている。

そして、そうした不満の声が聞こえるのは、必ずしもサーキットの中だけではない。数週間前、ドイツやイタリアといったF1にとっては重要な市場において、テレビの視聴率が激減したという事実が明らかとなっていた。

「今年のモナコは20パーセント下がったと聞いたよ」

『AOL』にそう語った元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、「我々にはファンに対する責任がある」と付け加えた。

F1では音の問題を解決するために、あまり見栄えのよくない「メガホン」を排気管に装着するなどの対策を試みたものの、最終的にそれは効果を生まなかった。

だが、話はそれだけでは終わらない。最近よく耳にされるようになった不満は、音に対してではなく、F1カーのスピードに対するものだ。

その問題は、昨年よりも小さくなった1.6リッターV6ターボエンジンとは必ずしも関係はない。その新エンジンは、昨年まで使用されていた大音量のV8自然吸気エンジンよりもストレートではさらに速くなっているのだ。

今年のスペインGP(第5戦)において、2014年のF1カーは2013年よりも平均で4秒以上遅かった。このときの主な原因は、今年から導入された新ルールによって大幅にダウンフォースが削られてしまったことにあった。

だが、狭く、曲がりくねったコースであるモナコでさえ、F1カーが出したタイムは以前よりもかなり遅くなっていた。そして、モナコにおける最大の問題がタイヤにあったことは疑う余地もない。

ザウバーが示した数値を見れば、いかに劇的に変化したかがよく分かる。サン・デボーテと呼ばれる第1コーナーの通過スピードは、昨年は時速96kmだったが、今年は90kmに落ちていた。また、モナコの見どころのひとつであるスイミングプールと呼ばれる第13コーナーから16コーナーへと向かう区間では、昨年よりも8kmも速度が削られてしまっている。

さらに、カジノと呼ばれる第4コーナーではなんと15kmも低下。そして昨年は149km出ていたタバココーナーと呼ばれる第12コーナーでは、今年は135kmにしか達していなかった。

F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、これまでかなり攻撃的とも言えるタイヤを開発してきていたが、特に昨年はタイヤの破裂問題が起こったことで大きな批判の的となっていた。

これを受け、ピレリは今年から導入されることになっていたV6ターボによる非常に高いトルクに対応できるように動いたものの、その結果として出来上がった2014年の製品は昨年と比べてかなり硬すぎる保守的なタイヤだった。

フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)は、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、「僕たちは、昨シーズンの後半に使われたコンパウンドであれば、もっと楽に使えていたはずだ」と語っている。

これに関し、ピレリのF1責任者であるポール・ヘンベリーは、次のように述べた。

「サーキットは全部で19あるのに対しコンパウンドはたった4種類しかないのだから、我々としては妥協せざるを得なかった」

だが、ミハエル・シュミット記者は、次のように付け加えている。

「ヘンベリーは、今シーズン中の仕様変更の可能性を否定しなかった」

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