F1チーム、ウィリアムズの共同設立者であり、かつて同チームの技術責任者を務めていたパトリック・ヘッドが、F1が迎えたターボエンジンによる新しい時代は「金がかかりすぎる」と主張した。
67歳となるヘッドは、『BBC』に対し、F1が市販車のようなハイブリッド技術にあまりにも肩入れし過ぎていることで、間違った方向へ進んでいるようだと語った。
「私は(F1は)もっとドライバー中心で、もっとエンターテインメント性の強いものであるべきだと思うんだ」
「いずれにしろ、現時点では、市販車にかかわっている人たちはハイブリッドに関して完ぺきなまでにいい仕事をしているよ」
「私は、F1でハイブリッド技術を実演してみせることがそれほど必要なことなのかどうか分からないんだ」
ヘッドはさらに、一番の問題はそうしたエンジンがチームにもたらすコスト増だと次のように続けた。
「800馬力を生み出すために、チームでは毎年200万ユーロ(約2億8,000万円)が必要となる。チームはだいたいその10倍の額を支払わなくてはいけなくなっているんじゃないかと思うよ」
「それは、F1のエンジンとしては恐ろしく高額だよ」
「エンジンというものは(F1カーにおいて)魅力を発揮する部分だと思う。だが、今のエンジンはその目的からすれば非常に高額だと思うね」とヘッドは付け加えた。
ヘッドと同様の意見を持っているのが、かつてベネトンやルノーでチーム代表を務めていたフラビオ・ブリアトーレだ。ブリアトーレは、F1はエンジニアたちによる不相応な影響によって誤った方向を向き始めていると考えている。
「1シーズンに70種類ものウイングを設計するなんて現実的だと思えるかい?」
イタリアの『La Stampa(ラ・スタンパ)』にそう語ったブリアトーレは、次のように続けた。
「エンジニアたちが絶頂感を得るためだけになのかね?」
「残念ながら、FOTA(※)が解散したことによって、バランス感覚のない人たちに自由裁量が委ねられてしまったんだ」
(※)FOTAとはフォーミュラ・ワン・チームズ・アソシエーションの略で、F1のレギュレーションや商業契約に関して検討を行うためにF1チームによって結成されていた組織。2014年2月に廃止となった。