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ロズベルグの予選でのミス。その真相は?

2014年05月25日(日)16:51 pm

ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が24日(土)に行われたF1モナコGP(25日決勝)予選Q3で犯したブレーキミスが大きな波紋を呼んでいる。

予選Q3の終盤、そのとき暫定のポールポジションタイムを出していたロズベルグと、それを追うルイス・ハミルトンが最後のアタックラップに臨んでいた。だが、前を走っていたロズベルグがミラボーと呼ばれるターン5手前でブレーキミスをしてクルマをエスケープゾーンへ入れてしまったことで、その区間で黄旗が振られてしまった。

黄旗が振られているときにはそこを通過するドライバーには減速が義務付けられているため、後ろから自己ベストタイムを更新しながらアタックを行っていたハミルトンや、その後ろのドライバーたちはそこでアタックを中止するしかなく、その時点でロズベルグのポールポジション獲得が確定していた。

その後、ロズベルグが後続車のアタックを妨害するためにわざとミスを犯していたのではないかとの疑念の声が上がり、競技委員会による審議が行われたが、元F1ドライバーのデレク・ワーウィックを含む競技委員会はいくつかの証拠を検討した上で、ロズベルグが故意にその事故を起こした証拠はないとの結論を導きだしていた。

だが、競技委員たちが数時間にかけて審議を行っている間、2014年のモナコGP決勝を翌日に控えた華やいだ雰囲気の中で、さまざまな論争が巻き起こっていた。

元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、「もしあれがわざとやったことだとしたら、彼はすごくうまくやったということになるよ」と語った。

モナコに来ていたもうひとりの元F1ドライバー、ジャン・アレジも「ニコは正しいドライバーだ。彼がそういうことをするはずがない」と付け加えている。

予想にたがわず、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフもそうした見解に同意し、『BFMTV』に次のように語った。

「これが意図的に行われたものでないことは12万パーセント保証することができるよ」

これから数時間後、ロズベルグとハミルトンはモンテカルロ市街地コースの「サン・デボーテ」と呼ばれる第1コーナーに向かって戦いの火ぶたを切ることになる。だが、ヴォルフは「クラッシュなどは起こらないよ」と主張している。

しかし、ロズベルグのライバルドライバーたちの中には疑いの目を向ける者もいる。

「あれは変だった」と語ったのは、かつてフェラーリでミハエル・シューマッハのチームメートだったフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)だ。7度のF1タイトル獲得という偉業を達成したシューマッハだが、2006年のモナコGP予選においてわざとミスを犯してほかのクルマを妨害したとしてペナルティーを受けている、

当時シューマッハのチームメートであったマッサは、ブラジルの『Totalrace(トータルレース)』に次のように続けた。

「僕の感じでは、あれは変だったよ。なんだか以前にも同じ映画を見たっていうような感じがしている」

さらに、モータースポーツの世界において最大の栄誉であるF1チャンピオンという称号を獲得するための戦いにおいては、そうした反則行為が起こることも否定はできないと断言する者もいる。

元F1ドライバーのアレックス・ブルツは、「ルイスが心理戦を始めた。そしてこれがニコの答えだったのさ」と語った。

かつて2007年に、当時マクラーレンでのチームメートであったハミルトンと険悪な関係になったことがあったフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)は、今回の事件について多くを語ろうとはしなかったが、イタリアの『La Repubblica(レプブリカ)』にほほ笑みを浮かべながら次のように答えている。

「僕はそれを見ていないんだけど、人に教えてもらったよ。多分、彼らは忙しい夜を過ごすことになるだろうね」

しかし、ポールポジションを獲得したことに加え、ロズベルグは土曜日の戦いでもっと重要な勝利を収めていたのかもしれない。感情的になることが多いハミルトンだが、最近冷静なレース運びを続けていた。しかし今回の一件でまたハミルトンの悪い癖が呼び戻されることになるかもしれないからだ。

予選後、ハミルトンは、ロズベルグがポールポジションを守るためにわざとミスをしたと考えているとはっきり言葉にすることはなかった。だが、今回の件で明らかにハミルトンはロズベルグに対する敵対心を強く持ったことは間違いない。

「僕は標的にされたんだ。ああいうこともあるだろうということを考えておくべきだったよ」

そう語ったハミルトンは、「もう僕は彼(ロズベルグ)と話をすることはないよ」と付け加えている。

もしこの一件でハミルトンが冷静さを失い、それがロズベルグにとって有利に働くことになれば、今回のミスが仮に本当にミスであったとしても、ロズベルグにとってはけがの功名ということになるかもしれない。

こうした状況に関し、元F1ドライバーのジャッキー・スチュワートは『Daily Mail(デイリー・メール)』に対し、モナコで次のように語った。

「私はプロのレーシングドライバーとして人生を送る上で、常に感情に支配されないように心がけていた」

「喜んだり怒ったりしてはいけない。そうした瞬間に理性を失ってしまうからね。頭をからっぽにして、冷静に集中していなくてはならないんだ」

そう語ったスチュワートは、最後に次のように付け加えた。

「私は、今回ルイスが見せた反応には驚かされたよ」

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