メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが、チームメートであるニコ・ロズベルグとの関係はF1モナコGP(25日決勝)の予選で見事に崩れ去り、今後はロズベルグとの間にかつてのアイルトン・セナと同じような戦いをしかけていくと宣言した。
モナコGPの予選後、元F1ドライバーのデレク・ワーウィックを含む競技委員会は、ロズベルグが予選セッション終了間際に犯したミスについて、それが故意によるものだったのかどうかの審議を行った。
委員会の出した結論は、ロズベルグが「いかなる違法行為」もこれを犯したという「証拠はない」というものだった。
ハミルトンは、ロズベルグがポールポジションを守るためにわざとミスをしたと思っているとはっきり言葉に出すには至らなかった。だが、ハミルトンはそう信じていることをにおわせるように次のように語った。
「僕は標的にされたんだ。ああいうこともあるだろうということを考えておくべきだったよ」
ロズベルグがハミルトンに対して陳謝の言葉を述べたことについて、ハミルトンは次のように付け加えた。
「なぜ謝る必要があるんだい? 彼がポールポジションを取ったんだ」
一方のロズベルグは、「残念だよ。データははっきりしているし、競技委員会もそれを認めているのにね」と語り、あのときは単にブレーキがロックしてしまったことで退避エリアにクルマを入れ、そこからバックしてコースに戻るしかなかったのだと主張している。
一方、メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダは、ハミルトンは少年時代からのライバルであり、友人であり、そして今はチームメートとなっているロズベルグをもっと信頼すべきだと考えている。
「もしルイスが、あれはわざとだったと言えば、それは非常に不当なことだ。だが、私は彼がそんなことを言うとは思わないよ」、とラウダは『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に語った。
だが、そうしたラウダの思いにもかかわらず、今回の一件により、今後さらにハミルトンとロズベルグの関係が悪化するだろうと考える者もいる。そして、この2人の関係を、20年以上も前のアイルトン・セナとアラン・プロストの関係になぞらえる者も少なくない。
今は亡きセナの熱烈なファンであるハミルトン自身もその1人だ。
「僕はセナが取った行動がすごく好きなんだ」とハミルトンは24日(土)に語った。
セナとプロストの争いは、1989年と1990年の2回、両者がコース上でクラッシュすることで決着がつけられていた。そして、セナはその後、少なくともそのうちの1回は故意に行ったものだったことを認めている。
「僕はセナの本からその部分のページを抜き取ろうと思う」とハミルトンは語った。
ハミルトンは、当時マクラーレンのチームメート同士として争い、最終的にその関係が完全に崩れ去っていたセナとプロストについて言及しながら、次のように付け加えた。
「そう、これは少しばかりセナとプロストに似ているよ。もう僕は彼(ロズベルグ)と話をすることはないよ」