レッドブルでは、F1モナコGP(25日)を前に、今季型車RB10のノーズの設計見直しを迫られていたようだ。
シーズン前テストの段階から、そして実際にシーズンが始まってからも、レッドブルのRB10には装着が義務付けられている車載カメラが取り付けられていないように見えた。
だが、そのノーズをよく見てみると、ノーズに描かれた「カシオ」と「ピレリ」のロゴの間にテレビカメラのレンズのために小さな穴が開けられていることが見て取れた。
F1のルールによれば、そうしたカメラなどをカーボン素材による車両構造体の中に設置することは禁じられている。だが、レッドブルがカメラのために設けた穴は基本的な車両構造の内部ではなく、見栄えの悪い段差ノーズを目立たなくするために昨年から導入が認められた「化粧版」に施されていた。つまり、レッドブルの最高技術責任者であるエイドリアン・ニューイは、現行のルールに違反することなく、カメラを車外に露出させないことで空力的に有利となるデザインを施していたわけだ。
だが、F1の商業権運営組織であるFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)は、このレッドブルがとった対策に不満だったようだ。
つまり、このような形でカメラが装着されると、FOMとしてはレッドブルのノーズに備えられたカメラで後方の視界をとらえることができなくなるためだ。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、さらにレッドブルのカメラが映し出す前方の映像にも不満を覚えていたFOMは、レッドブルに対し前戦のF1スペインGP(第5戦)に向けて、その「ノーズに開けられた穴」を改良するように指示していたと報じている。
事実、バルセロナで行われたスペインGPでは、レッドブルのノーズの穴は以前よりも大きくされ、位置も少し変えられていた。だが、伝えられるところによれば、FOMを統率するF1最高責任者のバーニー・エクレストンは、レッドブルがバルセロナで施してきた改良にもまだ満足できなかったという。
そして、今週末に開催されるモナコGP(25日決勝)からは、レッドブルのRB10も、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の基準にのっとった通常のカメラを、フェラーリやメルセデスAMGといったほかのチーム同様にノーズ構造の外側に設置しなくてはならなくなったという。
そうなれば、これまでノーズに設けられていなかったカメラ装着用のステーなどを追加で施すしかなくなることに加え、それによる空力特性なども変わってくることが考えられる。レッドブルはここへきて、ノーズの設計の見直しを行わざるを得ない状況に置かれてしまったようだ。