ルノーエンジンを使っているドライバーの中には、シーズン終盤に規定数のエンジンを使い果たしてしまう者も出る可能性があるとF1公式エンジンサプライヤーのルノーが認めた。
ルノーのF1エンジン責任者であるロブ・ホワイトは、シーズン序盤に苦戦を強いられたパワーと信頼性の問題からの回復は、まだその途上にあると語っている。
「最初のテストでは、我々は大きく離されていた。我々は危機的状況だった」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう認めたホワイトは、次のように付け加えた。
「我々は差を縮めるための計画を立てた。それ以来、我々は進歩を遂げているが、残念ながらまだ十分とは言えない」
そして、その危機を乗り越えるための取り組みは高くついたと、ホワイトは次のように続けた。
「それぞれのチーム内で、我々はパワーユニットの構成部品を計画よりも多く消費してしまった。つまり、チームごとに開発のサイクルが違っているんだ」
今年のレギュレーションでは、1人のドライバーに使用が認められているエンジン数は5基までと定められている。
「何人かのドライバーは、許容された5基にとどめるのは難しいかもしれない」、とホワイトは付け加えた。
ミハエル・シュミット記者は、4年連続のチャンピオンチームであるレッドブルが序盤のルノーエンジンのトラブルによってここまで大きくライバルのメルセデスAMGに差をつけられていることが目立ってはいるものの、実際にルノーエンジンユーザーの中で最もルノーのトラブルの影響を受けたのはロータスであり、その次がケータハムだと指摘している。
だが、現在はまだ問題を抱えているものの、ホワイトは、これからルノー勢が差を縮めていけるという自信を持っているとし、メルセデスエンジンに対して劣っている馬力についても、追いつくのはさほど先のことではないと主張している。
「我々のエンジンの概念には、最高となることを妨げるものはないんだ」
だが、メルセデスエンジンは、タービンとエアコンプレッサーの両方を「パワーユニット」の後方に配置する独自のスタイルを取り入れており、そのV6ターボエンジンの概念と基本的なレイアウトにおいてほかのライバルメーカーたちを大きく出し抜いていると言われている。
しかしホワイトは、「我々もそういう手法を考えなかったわけではない。だが、我々はそれが勝負の決め手になるとは考えていない」と主張。
ルノー・スポールF1の社長であるジャン・ミシェル・ジャリニエもそれに同意し、「これでは我々はかなわない、と大きく驚かされるようなものはなかった」と語っている。
ホワイトは、ルノーが2014年シーズンに問題をひきずっているのは、ライバルのメルセデスが優れているというよりも、むしろ自分たちのほうにその原因があったためだとしている。
「我々が目標に到達するのが遅れたのは、我々がリスクを過小評価していたのか、あるいは、我々には予定通りに問題を解決できる能力があると自分たちを過大評価していたかだ」とホワイトは付け加えた。