先週末のF1スペインGP決勝で、15番手スタートながら14台を追い抜いて4位でフィニッシュしたセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だが、スペインGPでこれまでとは違うシャシーを用いたことがこの結果につながったと考えているようだ。
ベッテルは、今季開幕以来、レッドブルの今季型車であるRB10に「スージー」というあだ名を付けていたが、そのスージーはなかなかベッテルの言うことを聞いてくれず、4年連続チャンピオンは第4戦までその実力を発揮できずにいた。
レッドブルのモータースポーツ責任者であるヘルムート・マルコは、ベッテルのシャシーに小さなひびが入っているのではないかと推測し、スペインGPにはシーズン開幕前のテストで使用していたシャシーに交換して臨んでいた。
ところが、ベッテルのスペインGPは悪夢のような形で始まった。金曜フリー走行1回目の開始早々に電気系トラブルが発生したため、フリー走行2回目への出走を断念。翌日の予選では順調にQ3まで進出したものの、今度はギアボックスにトラブルが発生し、ギアボックス交換による5グリッド降格ペナルティーまで受けることとなっていた。
だが、決勝ではファステストラップを記録しながらの快走を見せたベッテルは、レース後に「再びクルマを掌中に収めることができたと感じている」と語り、これまでのスランプからは脱却したとのイメージを強くアピールした。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』から、シャシーを交換したことがカギだったと考えているかという質問を受けたベッテルは次のように答えている。
「それが違いを生んだと思っているよ」
「少なくとも、(クルマについての)クエスチョンマークは消えたよ」
ベッテルはそう語り、ここまで原因不明のハンドリングの悪さを抱えていたものの、その問題は解消されたとしている。
「スピードについては、まずまずだったかな」とベッテルは付け加えた。
天才F1カーデザイナーと評価されるレッドブルの最高技術責任者エイドリアン・ニューイが設計したRB10は、エンジンを除けば今年も最高のクルマであると評価する声も多い。そんな中、レッドブルではエンジンサプライヤーのルノーに対して大きく改善を図るよう圧力をかけている。
スペインGPにおいては、このレースから投入したトタル社の新配合燃料も有利に働いたようだ。
「クルマに乗っているときは、それほどパワーが増えたとは感じないよ。でも、これまでのようなストレートでの不安定な感じはなくなった。だからそれによって少しは有利になったと思っている」、とベッテルは語った。
しかし、今後もしばらくの間はまだメルセデスAMGには太刀打ちできないであろうということもベッテルは認識している。
「彼らには、ものすごいエンジン、ふたりのすごく速いドライバー、すごくいいクルマ、そして非常に優れたチームがある」
スペインGP決勝後にそうコメントしたベッテルは、次のように付け加えている。
「彼らが冬の間に誰よりもいい仕事をしたということだし、現在の位置は彼らにふさわしいものだよ」