先週末に開催されたF1第5戦スペインGPで、迫力あるレースを展開したのはF1ではなくサポートレースであるGP2シリーズのほうだったかもしれない。
F1の下位カテゴリーという位置付けがされているGP2だが、そのレーシングカーに搭載されている自然吸気V8エンジンは、今季からハイブリッド式のV6ターボエンジンに変更されたF1よりも大きな爆音をバルセロナに響かせた。
そればかりではない。事実、GP2のレーシングカーは何台かのF1マシンよりも速かったのだ。
シュテファヌ・リシェルミという名前は、GP2関係者以外にはほとんど無名だと言ってもいいだろう。だが、先週末にバルセロナのカタルーニャ・サーキットで行われたGP2の予選でポールポジションを獲得したモナコ出身のリシェルミは、メカクローム社製のエンジンを搭載したダムスのクルマで、F1のマックス・チルトン、ジュール・ビアンキのマルシャ勢、そしてマーカス・エリクソン、小林可夢偉のケータハム勢が出した予選タイムを上回ってみせたのだ。
F1よりもいいタイムを刻んだドライバーは、実はリシェルミだけではなかった。GP2予選で13番手以内に入ったクルマはすべてF1の予選でケータハム勢が出したタイムを上回っている。
フォース・インディアのセルジオ・ペレスは以前、予算はF1の8分の1とも言われるGP2が、F1よりも速く、かつダイナミックなエンジン音を響かせていることについて「気恥ずかしい思いだ」と語っていた。
マルシャのスポーティングディレクターであるグレアム・ロウドンはこれに関し、イギリスのスポーツ紙『Sporting Life(スポーティング・ライフ)』に次のように述べている。
「それはレギュレーションによるものだから、我々にはどうしようもないんだ」
「そうしたことに疑問を投げかけるファンを非難するわけにはいかないよ。そしてそういう声に耳を傾けることが大切なんだ」とロウドンは付け加えた。