アゼルバイジャンが、予定よりもかなり早くF1カレンダーにデビューを果たすことになるかもしれない。
先週、かつてソビエト連邦のひとつであった石油産出国のアゼルバイジャン共和国が、首都バクーの市街地コースでF1を開催する計画を進めていることが報じられた。
F1最高責任者のバーニー・エクレストンは以前、アゼルバイジャンの責任者たちとは「2015年からの開催に向けた話し合い」が行われてはいるものの、現実的には2016年からの開催となりそうだと語っていた。だが、アゼルバイジャンのスポーツ担当大臣であるアザド・ラヒモフは先週次のように語っていた。
「我々はバーニー・エクレストンとの契約を行った。バクーでのイベントに関しては近いうちに正式に発表されることになる」
『AP通信』では、その契約ではレース開催は2016年からではなく、2015年からとなっていると指摘。
ラヒモフ大臣の広報担当官であるサマヤ・ママドワも、「F1はバクーで2015年の秋に開催される」と認めるとともに、5月の終わりごろに契約締結記念式典が行われる予定であることも明かしている。
そのアゼルバイジャンでのF1レースに関してさらに驚くようなニュースが報じられた。ドイツの『Welt(ヴェルト)』紙が7日(水)、バクーでのレースは今年から開催されるかもしれないとの新たな予想を展開したのだ。その予想の根拠とされているのは次のような理由だ。
現在10月12日(日)に決勝が予定されている初開催となるロシアGPが、クリミア情勢の影響により開催が困難となるのではないかとの見方が強くなっている。仮にソチで予定されているロシアGPが中止となった場合には、日本GP(10月5日決勝)と、アメリカGP(11月2日決勝)との間が3週間あいてしまうことになる。この期間にアゼルバイジャンが埋め込まれることになるのではないかというものだ。
事実、クリミア危機により、ロシアとウクライナによる開戦の危機が日増しに大きく叫ばれるようになってきているとともに、西欧諸国でもロシアに対する制裁措置を強めてきており、ロシアでのF1レース初開催については悲観的な見方をする者が増えている。
さらに、今年はモスクワ・レースウエイで7月にDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)のレースも開催される予定になっているが、こちらの開催も危ぶまれているようだ。
DTMは2014年にロシアでレースを行うのかと尋ねられた同シリーズの主催者ハンス・ヴェルナー・アウフレヒトは、「今日現在においてはね」と答えた。
だが、DTMの運営組織であるITR(インターナショナル・ツーリングカー・レース協会)は次のように説明を行っている。
「主催者として、我々は当然ながら現在の情勢をつぶさに見守っているし、モスクワ・レースウエイでのレースも政治的状況次第だと考えている」
ITRでは、仮にロシアでのレースがキャンセルとなれば、「代替レースを行うだろう。そうでなければ無責任だし、プロの仕事とは言えない」と付け加えた。
『Welt(ヴェルト)』紙は、F1ではソチにかわる代替レース開催地を「すでに確定している」と主張。それが、アゼルバイジャンだとしている。