3人のF1関係者が、現在ドイツで汚職容疑での裁判を受けているF1最高責任者のバーニー・エクレストンは、単にその裁判において有罪判決を受けて投獄を免れるだけでなく、F1における重要な地位も失うことはないだろうと語った。
すでに汚職容疑で有罪判決を受けて投獄されている元銀行家のゲルハルト・グリブコウスキーとの汚職容疑裁判に臨んでいるエクレストンだが、これにより長期に及んでいたエクレストンのF1支配も終わりを告げ、場合によっては83歳のエクレストンが残された人生を檻(おり)の中で過ごすことになるかもしれないと考えている者も少なからずいる。
さらに、この問題についてどう考えているのかよく分からないのが各F1チームだ。『BBC』の番組「パノラマ」において、調査担当記者であるダラー・マキンタイヤがフェラーリやレッドブルといったF1トップチームたちに接触を図ったものの、返ってきた答えは「ノーコメント」というものばかりだったという。
「(チームが稼いだ)金が忠義をもたらしているんだ」、とマキンタイヤは語った。
だが、中には、エクレストンが今の状況を打開すると考えているF1関係者もいるようだ。
そのひとりは、かつてフェラーリなどで活躍した元F1ドライバーで、遠慮なくものを言うことでも知られるエディー・アーバインだ。
エクレストンの裁判がミュンヘンで行われていることについて残念だと思うかと尋ねられたアーバインは、バハマにある自分のヨットクラブで次のように答えた。
「そうでもないよ。彼は自分がしていることは分かっているからね」
また、すでに引退したものの、人気のあった元F1解説者のマレー・ウォーカーもアーバインと同じ意見のようだ。
「彼(エクレストン)は自分の人生の中でちょっとした苦境に立たされている」、と語った90歳のウォーカーは次のように付け加えた。
「バーニーは常に勝利を収めるんだ」
さらに、『Guardian(ガーディアン)』紙のF1記者として尊敬を集めるリチャード・ウィリアムズも次のように語った。
「もし、バーニーがこの状況に対応しきれないという結果に終わったら、私は驚くだろうね」
「このことで彼が刑務所へ入ることがないばかりか、多分今後も彼はF1の運営にかかわり続けていくと思うね」
エクレストンは、ミュンヘンでここまで2日にわたって行われた裁判の間、ほほ笑みを浮かべ、冗談を言い、裁判所の食堂で現在の妻であるファビアナとマフィンを口にするなど、リラックスしている様子を見せている。
だが、エクレストンの一番下の娘である25歳のペトラは、少しばかり違う受け止め方をしているようだ。ペトラはミュンヘンでの裁判について、『Telegraph(テレグラフ)』のインタビューに次のように答えている。
「かなり緊張しているわ。すごくストレスがかかると思うの。精神的に疲れる時間よ」