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ヴォルフ「マクラーレンから情報がわたってもホンダは不利を克服できない」

2014年05月06日(火)17:21 pm

メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであり、親会社メルセデスのモータースポーツ責任者でもあるトト・ヴォルフが、現在エンジンを供給しているマクラーレンがメルセデスのV6ターボに関する情報を2015年からエンジン供給を受けるホンダに提供するだろうと考えている。

今年、メルセデスは少々やりづらい立場に置かれている。メルセデスでは契約上マクラーレンに対して業界をリードする最新テクノロジーを供給している。だが、そのマクラーレンは来年からはホンダとの関係を結ぶことがすでに決定しているからだ。

ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』から、マクラーレンではすでにどれだけのメルセデスエンジンに関する情報を日本に伝えたのか、と聞かれたマクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエはほほ笑みを浮かべながら「何もないよ!」と答えた。

事実、トビアス・グルーナー記者は、メルセデスでは「あらゆる手段を講じて」メルセデスと最後の年を迎えたマクラーレンからホンダへ情報が漏れることを防ごうとしていると書いている。

だが、ヴォルフは、「私は、マクラーレンが学んだことはその許される範囲においてホンダに渡されていると確信しているよ」と語った。

ヴォルフによれば、マクラーレンの独自のテレメトリーを用いてホンダのエンジニアたちもトルクやパワー供給、そしてドライバビリティーなどについての情報を見ることができるようになるだろうという。

「そして、冷却や、油圧、電気系に何が求められるかといったようなことは当然ながらすべて伝えられることになる」、とヴォルフは認めた。

マクラーレンは、2007年に起こったF1界の産業スパイ事件「スパイゲート」において、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)から1億ドル(現在のレートで約102億円)もの罰金処分を受けたことは有名な話だ。

だが、ヴォルフはマクラーレンが、ホンダエンジン開発のためにメルセデスから利用できる範囲については厳格に守ると信頼している、と次のように付け加えた。

「我々は、公開してよいものと、公開できないものについて非常に明確に理解をしている。だが、彼らも今は我々の顧客としてパートナーシップと守秘義務の重要性について認識していると確信しているよ」

ヴォルフはさらに、多少の情報がホンダにもたらされたとしても、それによってホンダが2015年からの復帰という「不利」を克服できるとは考えていないようだ。

「ホンダはそもそも不利な立場に置かれているんだ。彼らが来るころには、すでにほかのメーカーでは1年にわたって(V6ターボを)走らせているんだからね」

さらに、ヴォルフは現在のライバルであるフェラーリとルノーも、来年はメルセデスとの差を縮めてくるだろうと考えている。

「我々の(エンジンに関する)概念は非常に異なるものだ。だが、よそも確実に追いついてくるよ。なぜなら、彼らは実際にサーキットで我々のエンジンがどういうふうに機能をしているかという情報を手にするからね」

「来年は、自然と差は縮まってくるだろう」、とヴォルフは結んだ。

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