F1の各エンジンメーカーは、今季導入されたV6ターボエンジンの音を大きくするための努力を続けていくようだ。
V12、V10、そしてV8時代の叫ぶような音をあげていた自然吸気エンジンに比べると、今年から導入されたV6ターボとエネルギー回生システムであるERSが組み合わされた「パワーユニット」が発生する音は著しく小さくなってしまい、F1ファンや関係者にショックを与えた。
かつてウィリアムズやマクラーレンで活躍した元F1ドライバーであり、今年はNASCARから再びインディカーに戦いの場を移したファン・パブロ・モントーヤは、F1第4戦中国GPをテレビで見ようとしたものの、わずか5周で見るのをやめたとし、その理由を『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「ワクワクできなかったんだ」
「それに、音もしなくなっていた。少なくともテレビで見るかぎりではね。実際にどういう音がするのかは知らないけれど、自分が乗っていたころのV10のような高回転で叫ぶような音には程遠いと思うよ」
また、F1最高責任者であるバーニー・エクレストンも、今年のF1サウンドに満足していないのはよく知られている。エクレストンは最近、F1エンジンサプライヤーであるメルセデスAMG、フェラーリ、そしてルノーの3社が1.6リッターの「パワーユニット」が発する音を改善するための作業を行うことになるだろうと語っていた。
エンジン音改善のための手法について、最初に各メーカーが話し合いの場を持ったのは中国GPが開催された上海でのことだった。そして、『Autosprint(オートスプリント)』は、今週さらに会議が行われる予定になっていると報じている。
ルノー・スポールF1のロブ・ホワイトは、これについて「我々は協議段階に入ったところだ」とし、次のように続けた。
「今後我々が取るべき行動については現実的な見方をする必要があると思っている。だが、もちろんこの課題には敏感に対応していくつもりだし、今後の対策に結びつくような研究には喜んで参加するつもりだよ」
今年の新エンジンではターボによってエネルギーを増幅させるため、音が小さくならざるを得ないという基本的な構造となっている。このため、唯一の対策として考えられることは排気管の設計見直しではないかと言われている。
『Autosprint(オートスプリント)』のアルベルト・アントニーニ記者は、フェラーリでは可能性のある解決策について調査するようにとの指示がもうすぐ出されるようだと報じている。