今季ちょっとしたスランプに陥っているセバスチャン・ベッテル(レッドブル)。チームでは、シャシーの不具合を疑って原因究明中だ。
チーム代表クリスチャン・ホーナーの話では、ベッテルはRB10の「感覚」がつかめていないという。また、単に新しいチームメートのダニエル・リカルドに比べて遅いだけと見る者もいる。
ベッテルの活躍を少年時代から見守っているレッドブルのディレクター、ヘルムート・マルコ博士は別の見方をする。
「セバスチャン特有の運転スタイルなんだが、ギアを落とす際に彼はリアの安定性を必要とする。ところが、新システムのせいで挙動がしっかりしないんだ」
だが、ベッテルもいずれは乗り方をマスターするだろうとマルコは言う。
「2012年も同じ展開だった。いったんリアの動きに納得したら、あとはもう向かうところ敵なしだったよ」と、マルコはドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』誌に語る。
だが、問題の根はもっと深いかもしれない。
「ひとつ理解できないのは、リカルドに比べてベッテルはタイヤの摩耗が著しかった」と、マルコは先の中国GPを振り返る。
「もしやシャシーに傷でもあるのではと、今調べているところだ」
マルコによると、シャシーの不具合が潜在的に問題の根本だとすれば、これを解消すべくベッテルに新品の「スージー(シャシー)」を与える方針だという。
「完成次第、ベッテルに乗ってもらう」と、マルコは話している。
だがもしシャシーに何の問題もなかったら、ベッテルのトラブルに効く特効薬はないとマルコは言う。
「今年は技術的にとても難解なんだ。技術者でさえ把握しきれていないぐらいだよ」と、マルコ。「それでセブ(ベッテル)もマシンを好みに仕上げるのに、よけい苦労している」
「だがセバスチャンは完ぺき主義者だ。マシンを手懐けるまでシコシコと作業するだろうよ」