マクラーレンは我々を法廷に引っぱり出すより、もっとコース上の結果を重視したほうが良い。以上はマクラーレンに向けたチャンピオンチームであるレッドブルの助言だ。
英国に本拠を置くF1の2チームが今、ひとりの技術者を巡って綱引きを繰り広げている。空力の専門家として評価が高いダン・ファロウズ。レッドブルを辞め、先日からマクラーレンで仕事を始めていたはずの人物だ。
ところがファロウズは翻心、昇進を得てレッドブルに戻ることに決めた。これがマクラーレンCEO、ロン・デニスの逆りんに触れたのである。
先週末おこなわれた中国GP、デニスは、マクラーレンとの契約を反故にするようレッドブルがファロウズを”けしかけた”として同チームを非難した。
パドックで最新のうわさによると、過去数年にわたりピーター・プロドロモウの下で働いていたファロウズは、より責任あるポストを狙ってレッドブル退団を決心したと言う。
しかし、その後プロドロモウもマクラーレンと契約したことを知り、ファロウズは考えを改めたようだ。
さらにファロウズは、デニスではなく、最近、チーム代表の座を追われたマーティン・ウィットマーシュが自分の上司になるつもりで契約したらしい。
「マクラーレンで起きたもろもろの体制変更で、彼は加入する気が失せたのだ」と話すのは、レッドブルのチーム代表、クリスチャン・ホーナーだ。
ファロウズに契約破棄を”そそのかした”とのデニスの言い分を、ホーナーは否定する。
「彼(ファロウズ)は、まだ話し合う余地が残されているか我々に問い合わせてきた。復帰は100%、彼の選択だ」と、ホーナー。
ついでにホーナーは、ファロウズに構わず本来の仕事であるレースでもっとがんばれとマクラーレンに助言を行う。マクラーレンのジェンソン・バトンとケビン・マグヌッセンは、中国GPでいずれもポイント圏外の結果に終わった。
「これで彼らの焦点がぼやけなければ良いんだけれどね。もっと自分たちの足元を見つめるべきだよ」と言うホーナー。
「マクラーレンがより大きな問題から目をそらすのも無理はない。空力技術者を求める彼らの理由は見え見えだよ」