F1最高責任者であるバーニー・エクレストンに対する汚職容疑での裁判が24日(木)にドイツで始まる。
この裁判は、これまで長くF1最高権威の座についていた83歳のエクレストンにとって、その輝かしいキャリアに最終ラップを迎えさせるものになるかもしれない。というのも、これまでに行われた別の2件の裁判において、エクレストンがすでに投獄されている元銀行家のゲルハルト・グリブコウスキーに対して賄賂(わいろ)を送っていたことが認定されているからだ。
今回ドイツで行われる刑事裁判で有罪判決を受ければ、エクレストン本人も投獄され、その結果として現在の地位も失うことになるだろう。
起訴状によれば、エクレストンはグリブコウスキーを「口説き落とす」ために、彼に4,400万ドル(約45億円)を支払ったとされている。グリブコウスキーは、同じ管轄における裁判ですでに収賄容疑で有罪判決を受けている。
F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトは、その起訴状の内容を引用しながら、エクレストンは「バイエルン銀行をできる限り早くF1の共同出資者」とすることを条件に、グリブコウスキーに対し「個人的な利益」の提供を申し出ていたと『Guardian(ガーディアン)』に書いた。
シルトによれば、エクレストンは今週に入ってからコメントを行っていないという。
スポーツの腐敗防止に携わる機関『トランスパレンシー・インターナショナル』のスポーツ担当上級弁護士であるシルビア・シェンクは、「彼(エクレストン)にとって非常にいい状況だとは見えません」と語り、次のように続けた。
「法の順守という観点からすれば、すでにエクレストンがグリブコウスキーに対して4,400万ドルを支払ったことを認めているということを忘れてはいけません。しかも、その支払いの理由はとても正当なものだとは思えません」
「それはまさに誠実な行為だとはみなされないものです。ですが、司法制度においては、彼自身に責任があったことを証明することが必要です」、とシェンクは結んでいる。