一口にF1マシンと言ってもピンキリ。セバスチャン・ベッテル(レッドブル)はキリの扱いを「忘れて」しまった。
以上はメルセデスAMG会長ニキ・ラウダの意見だ。4年連続F1世界チャンピオンをもってしても若きチームメート、ダニエル・リカルドのペースに追いつくのがやっとの状況では、このようにF1界で注目の的となって当然だ。
ラウダはドイツのテレビ局『RTL』に、次のように話す。「彼は数々の栄光や勝利に慣れきって、本来のパフォーマンスを失ったのだ」
「普通のF1マシンの乗り方を忘れたんだよ」
「彼は(ブロウン)ディフューザー装着のマシンで何らかの操縦法にたどり着いた結果、他の誰にも勝る速さを身につけた」
「ところがレッドブルで今季型マシンしか知らないリカルドは、これを見事に乗りこなしている」と、ラウダ。
似たような意見は、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)からも聞かれる。リカルドは絶妙のタイミングでベッテルのチームメートとなったと、ブラジルのマスコミに話している。
「すべてが変わる時こそ、チームを移るチャンスだね」と、マッサ。
「もしリカルドのレッドブル移籍が昨年だったら、長年乗り慣れたマシンのベッテルを相手に、もっと苦労したと思う」
「現状はリカルドに味方していると思うが、それだけじゃない。彼は才能にあふれた素晴らしいドライバーだよ」
さらにマッサは、ベッテルがレッドブルでトップに返り咲くには相当な苦労が伴うと考えている。
「(マーク)ウェバーがチームメートだった時代はすべてがベッテルを中心に回っていて、彼にとってさぞかしシンプルで楽だったことだろう」
「ところが今は、より大きな重圧がのしかかっている。状況が一変したのはプレッシャーのせいさ」と語るマッサ。彼自身も、昨シーズン終了後、フェラーリからウィリアムズに移籍している。
「ベッテルの才能をどうこう言うつもりはないよ。あれほどのドライバーだ。あの戦績は賞賛されてしかるべきさ。だがそれはそれとして、彼には現状を打開する必要があるね」
「リカルドが速くて良いドライバーであるのは間違いない。彼は自身の才能で今の位置にいるんだ。素晴らしいチームに加入した彼は今のところ、良い仕事ができるところを見せつけている」というマッサだった。