かつて3度F1タイトルを獲得した伝説的元F1ドライバーであり、現在はメルセデスAMGの会長を務めるニキ・ラウダが、今季から導入されたV6ターボによる新たなF1エンジンの音量をすぐに上げろと言うのは「ばかげた」ことだと語った。
そのラウダ自身も、先週末に開催された2014年のF1開幕戦オーストラリアGPで、22台のF1カーが第1コーナーへと向かっていったときの音にはがっかりさせられたと認めている。
また、ウィリアムズのチーフテクニカルオフィサーであるパット・シモンズも、それに同意見のようだ。シモンズは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように述べた。
「私にとっては、スタートがレースのなかでも一番ワクワクする部分なんだ。22人のドライバーがエンジンの回転数を上げてゆくときが大好きなんだよ」
「全体的には、音についての不満はない。でも、(オーストラリアGPの)スタートのときには、ちょっと静かだと感じたよ」
だが、ラウダはこうした新たなF1エンジンの音に関して、『Osterreich(エステルライヒ)』紙に次のように述べた。
「エンジン音に関して議論をするのはばかげたことだよ。今すぐに変えるわけにはいかないんだからね」
「すべての関係者によって5年前にターボエンジンを導入することが決定されていた。それゆえ、我々は排気管の前にターボチャージャーを設置したんだ」
「そうすれば音が変わることは子供でも分かることだ。もしターボを取り除いてしまえば、もうハイブリッドエンジンではなくなってしまう」
F1のエンジン音がかつてのような高音ではなく、より低く、重たい音に変わってしまったことに関して、ラウダはさらに次のように続けた。
「それに慣れるしかないよ」
一方、ラウダの同僚であり、メルセデスAMGでエグゼクティブディレクターを務めるトト・ヴォルフは、この問題に関してはもう少し柔軟な姿勢を示しているようだ。ヴォルフはフィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙に次のように語った。
「私はエンジニアほど技術には強くないが、こうした(音の)ことについても検討はされるだろう」
「何か手を打たなくてはならないと決まれば、我々はそのことについて慎重に考えなくてはならない」
だが、ヴォルフは今年のルール変更については受け入れるべきだと考えているようだ。
「私は、それ(音量アップ)は可能だと思うよ。だが、それが正しいことかどうかは分からない」
「V8エンジンは素晴らしい音を奏でていた。だが、私はこのレース(オーストラリアGP)を間近で見ていたし、F1がいまだに最高峰のモータースポーツだということは断言できる。これはGP2とは違うよ」
そう語ったヴォルフは、次のように付け加えた。
「これ(V6エンジンへの移行)は正しい措置だった」