2014年F1シーズンには、下位カテゴリーであるGP2のクルマのほうがF1カーよりも速くなるのではないかとの不安がささやかれていたが、ここへきてそれが解消されつつあるようだ。
1月にスペインのヘレスで今シーズンから導入されるV6ターボエンジンを中心とする「パワーユニット」を搭載したF1カーのテストが初めて行われた。そのときマクラーレンのジェンソン・バトンは、今年はいくつかのサーキットにおいてはGP2とF1のタイムが接近することになるだろうと語っていた。
だが、2回目の公式テストが行われているバーレーンにおいて、バトンの新しいチームメートである新人ドライバーのケビン・マグヌッセンが1分34秒910の最速タイムを記録してみせ、F1関係者を驚かせた。そのタイムは2013年にV8エンジンによってニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が記録したポールポジションタイムよりもわずか2.5秒遅いだけのものだったからだ。
その後、マグヌッセンはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、次のように語った。
「昨年よりも5秒も遅くなるなんて絶対に信じられないよ」
「かつてのF1に追いつくまでにそれほど時間はかからないんじゃないかな」
ウィリアムズのバルテリ・ボッタスも同じ意見を持っているようだ。
「今年の終わり頃には、2013年と同じ速さになると思うよ。絶対GP2と同じってことはないよ!」とボッタスは語った。
多くのF1関係者たちは、メルセデスのワークスチームであるメルセデスAMGのクルマが、もしマグヌッセンが運転したマクラーレンと同じように一番軟らかめのタイヤであるスーパーソフトの新品セットを装着して激しく攻めたときには、どういうタイムが出るのかを知りたいと思っているようだ。
メルセデスAMGでは、これまでは2番目に硬いほうのタイヤであるミディアムだけを使って走行していると伝えられている。というのも、メルセデスAMGではタイヤサプライヤーであるピレリに対して軟らかめのタイヤの支給を要求しなかったからだという。その理由は、それらの軟らかめのタイヤは、バーレーンでのレースは決して使われることがないためだ。
しかし、メルセデスAMGの会長であるニキ・ラウダも、今はそれについて興味を抱いているようだ。
「テストはテストとして行われるのであり、全体像を見るためのものだ。それぞれのタイヤで何ができるのかということは知っておくべきだし、我々がスーパーソフトタイヤでマグヌッセンと同じタイムが出せるのかどうかを知りたいと思うよ」とラウダは語った。
20日(木)に2番手タイムを刻んだのはフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグだったが、マグヌッセンよりは1.5秒遅いタイムだった。そのヒュルケンベルグも、新しいF1がすでにV8エンジン時代に追いつこうとしていることは驚きでも何でもないと次のように語った。
「どんなにルールが変わろうとも、エンジニアたちは常にそれによって失われたタイムを取り戻すものだよ」
このように『Speedweek(スピードウィーク)』に語ったヒュルケンベルグは、次のように付け加えた。
「そして僕たちは今、まだ始めたばかりのところだ」