ついにセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は昨年、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)を抜いて最強のF1ドライバーになった。
そう話すのは、1980年代にフェラーリとマクラーレンでドライブしたオーストリアの元F1ドライバー、ゲルハルト・ベルガーだ。だが最強であるのと同時に、2013年にベッテルが見せた勝ち方がスペクタクルとしてのF1をつまらなくしているとも、ベルガーは主張する。
ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に、ベルガーは次のように語った。「テレビを消すまでにはいかないが、たまに眠りこけることがあったよ」
ベッテルが真の伝説的ドライバーかどうか疑った者の多くは、2013年後半戦の9連勝を見て、ダンマリを決めてしまった。
それでも、アロンソの方が優れたドライバーだととらえる人は今も多い。
「その考えはフェアではないね」と話すベルガー。「だってそうだろう。マーク・ウェバーはとても優秀なレースドライバーだ。しかも、彼だってレッドブルに乗っていたんだよ」
「1年前まで私は、アロンソがもっとも完成されたドライバーだと思っていた。でも、2013年の走りを見て考えを変えた。最強ドライバーの称号を初めてベッテルに贈るよ」
ベルガーは、フェラーリへのいら立ちが露呈したアロンソを見てドライバーとしての資質にほころびを感じた。それに比べ、シーズン序盤に苦戦したベッテルは倍の努力を重ねたのだった。
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)についてはどうだろう。ベルガーの意見では、超一流とはいいがたい。
「私にいわせれば、ベッテルとアロンソの次に来るのは(キミ)ライコネンだ。それでも(フェラーリで)アロンソのチームメートとなる今年、おのずと彼の限界は見えてくるだろう」
「ハミルトンだって、(アロンソやベッテル)のように完成されたドライバーではないね。あのふたりは別格だ。ハミルトンには、とてつもない速さがある。だが、彼には何か尾ひれがついてくるよね」
「ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)には感心するよ」と、ベルガーは語る。「彼は過小評価されすぎだ。ミハエル・シューマッハを相手に信じられないパフォーマンスを見せたし、ハミルトンに対しても同じことをやっている」
「彼は徐々に(メルセデスを)味方につけている。シューマッハの時と同様に、今も形勢を逆転しつつある」
ロズベルグと同じドイツ人のニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)に対するベルガーの評価は、「いいドライバー」だが、メディアは「騒ぎすぎ」だという。
「彼はいずれ(フェラーリに)乗るだろう。その後はロータス、マクラーレン。やがて乗るマシンも尽きてしまうんだ」