国際的なメディアが、2014年F1シーズンの最終戦では2倍のポイントが与えられることになったことに対し、こぞって反対意見を表明している。
ドイツの『Bild(ビルト)』は「奇妙」だと書き、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は「まともじゃない」と評した。また、『Reuters(ロイター通信)』の記者であるアラン・ボールドウィンは、F1ファンたちは「ソーシャルメディア上に動揺と怒り」をあらわにしていると書いている。
元日本人F1ドライバーのタキ井上(井上隆智穂)は、ツイッターに「なんだか任天堂のマリオゲームみたいだ」と書き、「キノコは出てこないの?」と付け加えている。
今回のルール変更は、パリで9日(月)に行われたF1委員会と戦略グループの会議で決定されたもので、F1統括団体FIA(国際自動車連盟)の会長であるジャン・トッドに対して世界モータースポーツ評議会から「権限」が与えられていたことで、「即時に適用」されることになったという経緯がある。上記の反応は、こうした動きに引き続いて起こったものだ。
FIAは、その声明の中で、「F1のシーズン最終戦においてはドライバーおよびチーム別のポイントが2倍与えられることになる。これはシーズンの最後までタイトル争いへの注目を最大限にするためだ」としている。
こうした動きは、間違いなく2013年シーズンの結果に対する対策として出てきたものだ。今年はレッドブルのセバスチャン・ベッテルが圧倒的な強さを発揮したことで、最終戦となるF1ブラジルGP(第19戦)を待たずして、早々と第16戦のインドGPでタイトルのゆくえが確定していた。
2014年の最終戦はアブダビGPとなる。アブダビでのレースはしばしばF1カーが行列をなすようなものとなるが、それにもかかわらず2倍の点数が与えられることで、伝統あるモナコやスパと並ぶような重要な意味を持つレースとなる。
『Daily Mail(デイリー・メール)』の記者であるジョナサン・マクエボイは、F1の意思決定者たちは「スプリンクラー(でウエットにする案)やリバースグリッドとともに過去のものにすべき、 頭がおかしいとしか思えない仕掛けでF1を台無しにした」と書いている。
フランスの『L’Equipe(レキップ)』は、もしその制度が導入されていたとしたら、2008年にはルイス・ハミルトン(当時マクラーレン)ではなくフェリペ・マッサ(フェラーリ)がチャンピオンになっていたはずだし、2012年にはフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)がセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に打ち勝ってタイトルを獲得していたはずだと指摘。
ブラジルの『Globo(グローボ)』の記者、ラファエル・ロペスも「どうしてひとつのレースの価値が高められなければならないんだ?」と書き、次のように続けた。
「最終戦までタイトルが決定しないようにするための、非常に作為的な方法だ」
「信頼性に欠けるクルマに乗る平均的なドライバーが、単にポイントシステムのおかげで同じチャンスを得る必要があるのだろうか?」
「それに、言うまでもなく、アブダビはかなり退屈なサーキットだし、これまでいいレースが行われたことはほとんどない」、とロペスは付け加えている。