日産は、今年9月にニュルブルクリンクで量産車世界最速記録を樹立した「GT-R NISMO」を2014年2月末に発売する。価格は1,501万5,000円。
「GT-R」に、日産のモータースポーツを担うNISMOの長年にわたるレーシングテクノロジーの蓄積がフィードバックされて誕生したのが「GT-R NISMO」だ。パワー、スピード、ハンドリング、すべての性能を新たな領域で達成するために、モータースポーツ活動から学んだ数多くの技術が採用され、NISMOのレーシングテクノロジーのDNAが凝縮されたモデルとなる。
搭載されるエンジンは、NISMO専用チューニングが施された3.8リッターV6ターボだ。最高出力は600PS(441kw)、最大トルクは652Nm(66.5kgfm)を発生する。高効率大容量の専用タービンを搭載し、気筒毎に最適な点火時期制御が行われるとともに、最適な燃料噴射量をコントロールするインジェクター駆動回路が採用されている。その圧倒的なパワーを支えるシャシーには、やはり専用チューニングが施されたサスペンションと特注のビルシュタインダンプトロニックダンパーが採用されており、極限状態でも路面に吸い付くようなグリップや正確なステアリング応答性を実現している。また、高負荷時にもサスペンションの高精度の動作を確保するため、ボディー結合部には通常のスポット溶接に加え、構造用接着剤による補強も追加され、ボディー剛性が高められている。
また、エクステリアは、空気の流れを分析する最新のシミュレーション技術を用いることで、空気抵抗への影響を最小化しつつ路面追従性を向上したNISMO専用エアロパーツが施されている。フロントにカーボン製バンパーとアンダーカバーのエアストレーキを、リヤにはカーボン製のリヤスポイラーを採用。NISMOのモータースポーツ活動での経験を生かし、カーボンファイバー素材がバンパー、リヤスポイラー、サイドシルカバー、アンダーカバーなどに幅広く採用され、軽量化、低重心化を実現している。これらのパーツによってエクステリアのイメージは一段と力強いものとされている。
インテリアには、レカロ製NISMO専用カーボンバックバケットシートが装備されたほか、レッドセンターマークとレッドステッチ付アルカンターラ巻き3本スポークのステアリングホイールを採用。NISMOレーシングドライバーたちからアドバイスを受けたこのホイールは、グリップ、フィードバック、快適性を最高のバランスで実現したものとなっている。また、レッドリング付きのタコメーターやメーターリッドにもアルカンターラが採用された専用カーボン調コンビメーターが装備されるなど、高いプレミアム感を持つ内装が施されている。
この「GT-R NISMO」の動力性能の高さは、世界で最も過酷な路面状況で知られるドイツのニュルブルクリンク北コースで量産車最速を樹立したことでも明らかだ。今年の9月30日に専用オプションパックを装着した「GT-R NISMO」で、NISMOの4人のドライバーによってタイムアタックが行われ、ミハエル・クルムが量産車最速ラップタイムとなる7分8秒679という記録を打ち立てている。
ドライブを担当したクルムは「パワフルなクルマだがコーナーでのパワーとグリップのバランスがよいので、とても速く楽しいクルマだ」と語った。また、日産のカルロス・ゴーン社長は、「GT-R NISMOの誕生によってハイパフォーマンスを求めるエンスージアストの夢がかないます。飛躍的に向上した空力性能と精密なハンドリングが、最高レベルのパフォーマンスを可能にします」と述べている。
<「GT-R NISMO」の概要と価格>
エンジン:3.8L V6ターボエンジン(NISMO専用チューニング)
トランスミッション:GR6型デュアルクラッチ
駆動方式:4WD
価格:1,501万5,000円
発売:2014年2月末