ロマン・グロージャン(ロータス)が、数々のクラッシュを引き起こしたことで自らのF1キャリアを終わらせてしまうことになりそうだった2012年の結果を受け、いまだにセラピーを受けたいと考えていることを明かしている。
今では、グロージャンは、圧倒的な強さを示すセバスチャン・ベッテル(レッドブル)にもっとも近づくことができる挑戦者だとみなされており、先週末に開催されたF1第18戦アメリカGPでも、自己最高位タイとなる2位表彰台をゲットするなど、このところ好調が続いている。
しかし、1年前のグロージャンは、そのアグレッシブな走行によりレース序盤に他車を巻き込むクラッシュを何度も起こし、第13戦のイタリアGPではF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)から非常に珍しい1レースの出場停止処分を受けるなど、かなり荒れた状態にあった。そして、「1周目の狂人」というあだ名が与えられたグロージャンは、実際に精神分析医のセラピーを受けていた。
そのグロージャンが、今週ブラジルの『Totalrace(トータルレース)』のインタビューに答え、次のように語っている。
「(セラピーは)本当に好きなんだ。僕は治療を続けるよ。それによって日常的により良い人間になれるし、それがパドックにも反映されるからね」
2012年にはほぼロータスのシートを失うのではないかと見られていたグロージャンだったが、それによってロータスのレーシングドライバーとしての地位を確保するとともに、今や競争力のあるロータスにおいて、そのけん引役となっている。
フランスの『RMC』に、「もし、レッドブルがいなくなれば、僕を苦しめるものがなくなるのは確かだね」、とほほ笑みながら語ったグロージャンは、次のように続けた。
「でも、彼らも僕らと同じルールでやっているんだ。彼らは驚くべき仕事をしているよ」
投資家集団であるクァンタムからの巨額の出資決定を待つロータスは、いまだにグロージャンを2014年に起用することを正式には発表していない。だが、グロージャンが来季もロータスから出走することは間違いない状況だ。
ロータスのチーム代表であるエリック・ブーリエは、フランスの『L’Equipe(レキップ)』に次のように語った。
「ずっと前からロマンが非常に速いことを知っていたよ。そして、ときには速く走り過ぎることもあった」
「でも、今では状況が変わっている。彼は父親となり、非常に高いレベルの自信を得ている。そして、それをサーキットでも示しているよ」
「今の彼はすごくいいドライバーだ。今ではトップ3か4に入るんじゃないかと思っているよ」
そう付け加えたブーリエは、さらに次のように続けた。
「彼は来年、さらに違う考え方のもとに1年を始めることになるだろう。われわれは彼に別の目標を用意するからね」
「私は、キミがチームを離れることと、彼(グロージャン)の個人的な生活がうまく組み合わさって、大きな自信が与えられたんだと思っている。たぶん、それが彼がより大きく羽ばたくきっかけになったんだろうね」、とブーリエは結んでいる。