2014年シーズンに向けた「シリーシーズン」も終盤となったが、その主役の座にはニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)が座り続けている。
17日(日)のF1第18戦アメリカGPのパドックでは、空きのある中で最も競争力のあるレースシートを手にするのは、数百万ユーロに及ぶPDVSA(ベネズエラの国営石油会社)の資金を持つパストール・マルドナード(ウィリアムズ)だとする意見が多く聞かれた。
このところチームに関して厳しい言葉を発し、レース欠場もにおわせていたマルドナードが唐突にトーンダウンしたのも、このうわさが理由だと思われる。PDVSAの支援があるとはいえ、このような態度はロータスから歓迎されないと忠告を受けたのだろう。
マルドナードはウィリアムズを「家族」だと言い、「いいときも悪いときも僕たちは一緒だ」と話しているが、来シーズンはもっと競争力のあるクルマ、あるいはチームを望んでいることは間違いない。
マルドナードにとってアメリカGPは散々なものだった。予選でうまく結果が出なかったうえに、オープニングラップでエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)にぶつかってしまったのだ。
怒りのおさまらないスーティルはこう話している。「このドライバー(マルドナード)との間では事故が多い。こんな事態を避けるために、彼の周りには緊急避難エリアでも作るべきだね」
別の方法で資金を得られない限り「緊急避難エリア」が必要なドライバーと契約しなければ立ち行かないロータスは、投資家集団のクァンタムからの入金を首を長くして待っている。
クァンタムのマンスール・イジャスは、実力はあるのにスポンサーに恵まれていないヒュルケンベルグを2014年のロータスのドライバーに望んでいる。
ヒュルケンベルグについてたずねられたイジャスは、『Sky(スカイ)』に「(ロータスがヒュルケンベルグ獲得に必要な)資金を得る手伝いをしているのがわれわれだ」と話し、こう続けた。
「本当にもう間もなくだ。今週中には決着がつく」
どうやら、ヒュルケンベルグは来季のグリッドに並ぶことをまだあきらめなくていいようだ。ロータスに加えて、フォース・インディアのドライバー候補にも挙がっている。
実際に、ヒュルケンベルグのマネジャーであるヴェルナー・ハインツがフォース・インディアのホスピタリティエリアでフォース・インディア副チーム代表のボブ・ファーンリーと話す姿がアメリカGPで目撃されている。
『Sky(スカイ)』の報道によると、ザウバーのチーム代表モニシャ・カルテンボーンもヒュルケンベルグに興味があることを明かしている。
6位入賞を果たしたアメリカGP終了後、来季の選択肢について聞かれたヒュルケンベルグはこう答えている。
「いいニュースだよね。僕にできるのはコース上で結果を出すことだけだよ」