ロータスの株式35%を買い取る予定のクァンタムは、ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)が2014年にロータスのクルマに乗ることを望んでいる、と『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が報じた。
しかし、ロータスは11月中旬に期限を設定したため、ヒュルケンベルグとの契約を結ぶために十分な時間が残されているかは疑問が残る。
11月中旬までにヒュルケンベルグを獲得できない場合、ロータスはパストール・マルドナード(ウィリアムズ)をドライバーに起用するとみられる。マルドナードには年間4,100万ユーロ(約54億円)と言われる巨大な資金を与えてくれるPDVSAがついている。
内情に詳しい匿名の人物は、「誰もがその資金を求めてパストールを望んでいるということに、本人はいつになったら気がつくんだろうか」と辛らつな意見を述べた。
クァンタムあるいはマルドナードの資金を手にできるまでは、ロータスのチームオーナーであるジェラルド・ロペスが身銭を切ってチームを運営すると言われる。
「予算は変わっていない。選手権を(チームランキング)2位で終えたいのだ」
ロペスはそう話すが、現在ロータスはランキング4位に甘んじている。しかし、選手権4位でシーズンを終えた場合と、2位になった場合では、コンコルド協定に基づくチームへの分配金に1,500万ユーロ(約20億円)もの違いがある。
その資金があれば、今シーズンに大きく評価を上げたヒュルケンベルグ獲得に大きく弾みがつく。
強豪チームが資金の問題で強いドライバーと契約できないような事態はF1にとってよくないと思うか、と尋ねられたチーム代表のエリック・ブーリエはこう答えた。
「コメントしたくない」
一方、ロペスは「グロジャン(ロマン・グロージャン)とヒュルケンベルグの2人がいれば、将来に向けて最強のラインアップになると思う」とヒュルケンベルグ獲得に意欲を見せた。
4度のF1ワールドチャンピオンであるアラン・プロストは、ヒュルケンベルグという貴重な才能の持ち主がチームの資金難のためにシートを失うような事態はあり得ないと話している。
「5つの選択肢を目の前に並べたヒュルケンベルグが、彼本人にとって最良の選択肢を選ぶことを望んでいる」
「30年前なら、ヒュルケンベルグのようなドライバーはトップチームに引っ張られたものだけれどね」