今年、フォーミュラ・ルノー3.5シリーズ参戦2年目にして奮わず、トロロッソからの2014年F1昇格を逃したアントニオ・フェリックス・ダ・コスタだが、レッドブル育成プログラムからの脱落は今のところ免れている。
今季を通じて、22歳のポルトガル人ダ・コスタはトロロッソのシートに一番近い男だった。
ところがダニエル・リカルド(トロロッソ)のレッドブル移籍が決まると、空席に収まったのは何とGP3を戦う19歳のロシア人、ダニール・クビアトだったのだ。
ダ・コスタやカルロス・サインツJr.らほかのレッドブル育成ドライバーに比べて、クビアトがもっとも躍進めざましい選手となったのは間違いないが、いったいなぜ? スポンサー金でも持ち込んだのだろうか。
育成プログラム責任者のヘルムート・マルコは、「コース上の活躍」のみが唯一の選考基準だったとはっきり言う。
それでもマルコは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に、早速「ロシアの企業2社から問い合わせがあった」ことを認めている。
「クビアトはドライバーとして最高の資質を我々に示してくれた」と、マルコ。
「プレッシャーに負けないところをみごと証明してみせたんだ。その点がダ・コスタに足りなかったところだ」
「下位カテゴリーの段階でくじけていたら、果たしてF1ではどうなってしまうだろう?」
「類まれな才能として売り出したドライバーが、いざF1に上がったら挫折した例を今まで何度見てきたことだろう。しかしクビアトはこれまで順調に上昇カーブを描いている」
「ダ・コスタはよくて平行線、はっきりいえば下降線だった」
マルコにここまでストレートに言われれば、ダ・コスタの運命もここまでと思われても仕方ない。数多くいるレッドブルのジュニアドライバーで基準に達しなかった選手は、情け容赦なく落とされるのだ。
だがマルコは次のように言う。「ダ・コスタは切らなかった。今もレッドブル・ファミリーの一員だ。今後のプログラムについては考えどころだがね」
「ひとまず、レッドブルのシミュレーター担当兼控えドライバーではいてもらう」とのことだ。
さらにマルコは、マクラーレンが抱える若手のストッフェル・ファンドールネをトロロッソのドライバー候補として検討したとの憶測を次のように打ち消した。
「ファンドールネ君とは一言もことばを交わしたことがない」
「ましてやオファーなどしていない。私は彼の顔さえ知らないよ」