来季トロロッソからF1デビューを果たすことが決まったダニール・クビアトは、母国ロシアからのスポンサー支援がシート獲得の決め手ではないと語った。
「F1に来られたのは、特にトロロッソのドライバーとなれたのは、すべてパフォーマンスや結果によるものだよ」と『Championat(カンピオナ)』へコメントする19歳のクビアトだが、スポンサーをトロロッソに持ち込む可能性があることは認めている。
「何らかの発表ができるかもしれない。でも、まだそれはずいぶん先のことになると思う」
トロロッソのドライバー候補には、スペイン人のカルロス・サインツJr.やポルトガル人のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタといった名も挙がっていた。その中でクビアトが契約にこぎつけることができたのは、来年F1ロシアGPが初開催されることも関係しているとの意見もある。
しかし、かつてトロロッソの共同オーナーだったこともある元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは『APA通信』へ、クビアトの才能は確かだと語った。
「彼は生まれながらにして才能を持っている」
「彼は最高のクルマではないにもかかわらず、よい成績を残してきているよ」
クビアトはGP2やフォーミュラ・ルノー3.5を飛び越えてF1に臨むことになるものの、それに対応できるだろうとベルガーは次のように続けた。
「トロロッソはいい学校だし、いいドライバーなら常に対応してゆくものだ」
クビアトは、ロシアのウェブサイト『f1news.ru』に対し、今年のGP3やF3でよい成績をあげ、勢いづいたことでチャンスが大きくなったと感じていたと次のように語った。
「レッドブルの中心人物たちはみんな、僕が2つの異なるシリーズで勝利することができたのを見ていた。これが今回の決定につながったんだと思う」
一方で、もっともF1昇格のチャンスがあると考えられていたダ・コスタは、フォーミュラ・ルノー3.5で苦戦を強いられていた。これに関し、クビアトは次のように続けた。
「今年、彼(ダ・コスタ)はタイトル争いをしなくてはならなかった。でも、あえて言えば、それは順調には進まなかった」
「僕には逆のことが起こった。最初は簡単ではなかったけれど、どう対処すればいいかうまく習得できたし、(決定に携わった)すべての人たちがそれを評価してくれたんだと思う」
さらに、クビアトは自分がF1に行くには若すぎるとか、経験が足りないとは考えていないと次のように加えた。
「僕はジュニアカテゴリーでほぼ160レースを戦ってきたし、何度も表彰台に上り、勝利もしてきた」
「キミ・ライコネン(ロータス)は、32レースしただけでF1に昇格したんだったと思う。だから何の問題もないよ。セバスチャン・ベッテル(レッドブル)がデビューしたのも、だいたい今の僕と同じ年齢だったしね」
レッドブルのモータースポーツアドバイザーであり、ドライバー育成責任者でもあるヘルムート・マルコもそれに同意している。
「今回の決定に関与したすべての者が、パフォーマンスやスピード、それに成熟度の観点から、ダニールが理想的な候補者だと認めたよ」
そう語ったマルコは、スペインの『El Confidencial(コンフィデンシアル)』に対し、クビアトの契約をロシアGPと結び付けて考えるのは的外れだとし、次のように述べた。
「我々は、中期的に見てレッドブルにとって何が最善か、そしてトロロッソにとって何が最善かということを考えたんだ」
マルコは、クビアトがすでにF1経験を持つチームメートのジャン-エリック・ベルニュと同等のスピードが出せるようになるまで、少し時間をえられるだろうと次のように続けた。
「もちろん、彼はF1がどのようなものかを学ぶ必要があるし、サーキットも覚えなくてはならない。だが、6レース、あるいは8レースもすれば、彼はベルニュに対抗できる位置にいるはずだと言えるよ」