レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコが、レッドブルの育成ドライバーであるダニール・クビアトを来季トロロッソのドライバーに昇格させることに関して、「リスクがなければ面白くない」ためだと表現した。
クビアトは、現在19歳で、今年はGP3に参戦していたロシア人ドライバー。来年は、GP2やフォーミュラ・ルノー3.5を経験せずに、F1へ参戦することになる。クビアトについて質問されたマクラーレンのマネジングディレクターであるジョナサン・ニールは22日(火)、「すごく大きな飛躍だ」と述べた。
マクラーレンでは、今年フォーミュラ・ルノー3.5でタイトルを獲得したケビン・マグヌッセンと、ランキング2位となったストッフェル・ファンドールネを、将来のF1ドライバー候補として育成を続けている。だがニールは、新たにV6ターボエンジンが導入される来シーズンは、「若手ドライバーをその混乱に投げ込むことをしなくても」非常に大きな挑戦となるとみている。ニールは次のように語った。
「(若手ドライバーの登用は)優秀な候補者たちによって、歴史的にもうまく行われてきている。だが、F1の環境は非常に強いプレッシャーがかかるものだし、それは容赦のないものだ」
ダニエル・リカルドが来季レッドブルへ昇格することでトロロッソのシートがひとつ空くこととなったが、このシートを獲得する可能性が高いと考えられていたのは、マグヌッセンとファンドールネに次いでフォーミュラ・ルノー3.5でランキング3位となったアントニオ・フェリックス・ダ・コスタだった。
だがふたを開けてみれば、フォーミュラ・ルノー3.5よりも下位に位置づけられるGP3で現在ランキング2位のクビアトがそのシートを獲得。クビアトは、トロロッソにロシアのスポンサーを持ち込むと考えられている。
シート争いに敗れたポルトガル人ドライバーのダ・コスタは22日(火)に次のように語った。
「僕は(F1へ)ステップアップする準備ができたと信じている。でも、決定は下されてしまった」
「傷ついたし、今日はポルトガルの多くの人たちと同様に悲しんでいる。でも、F1に行くためにこれからもレッドブルと一緒に頑張り続けるよ」
レッドブルのドライバー育成責任者でもあるマルコは、ダ・コスタよりも3歳若いクビアトが、2013年を通じて着実な成長を遂げたことと、7月にシルバーストンで行われた若手ドライバーテストの際に発揮したパフォーマンスを根拠として、クビアトの昇格について次のように主張した。
「つまり、我々はリスクを冒してでもGP3ドライバーをF1に昇格させたいと思ったんだ」、とドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に語ったマルコは、次のように付け加えた。
「リスクがなければ、面白くもないからね」
マルコによれば、クビアトは「セバスチャン・ベッテル(レッドブル)とキミ・ライコネン(ロータス)を合わせたような」ドライバーだという。その理由は、クビアトが「たぐいまれなるスピードを持ち、几帳面な仕事をするとともに、非常に物静かで度胸もある」ためだとしている。
以前、トロロッソのチーム代表であるフランツ・トストはクビアトについて、F1にはまだ若すぎると考えていることをほのめかしていた。だが、トストも今では、ダ・コスタやカルロス・サインツJr.と比べると、クビアトのほうが2014年にシートへ座る準備が「はるかに」できていると語っている。