F1の4連覇を目前にしているセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だが、その才能に疑問を投げかける意見もある。それはなぜだろうか?
マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは、ベッテルにとって最大の問題はフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)だとしており、スペインのスポーツ紙『AS』に対して次のように語った。
「一般的に言って、ベッテルはマシン性能に値するポイントを獲得しているという評価だ。しかしアロンソの方は過去数年を通してそれ以上の成果を上げている」
「アロンソの存在こそ、ベッテルが正当な評価を得られていない要因だ」
一方1997年のF1世界王者ジャック・ビルヌーブはこの意見に同意せず、次のように『Bild am Sonntag(ビルト・アム・ゾンターク)』へコメントした。
「ベッテルはマシンに恵まれているだけだと言う人たちは、毎年彼がマーク・ウェバー(チームメート)を圧倒してきたという事実に目を向ける必要がある」
レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも「我々は両ドライバーに同じマシンを与えているが、マークがベッテルに勝ったことは何回あっただろうか?」とビルヌーブの意見に同調した。
さらに、ベッテルが空力の天才と称されるエイドリアン・ニューイ(レッドブルの最高技術責任者)の設計したマシンに乗っていることも、ベッテルの才能に疑問が投げかけられる要因の1つだ。
この件に関し、元F1ドライバーのエディ・アーバインは、『Sky(スカイ)』でこう語っている。
「マシンが良くなければ(タイトル争いで)勝てない。ミハエル・シューマッハやアイルトン・セナでない限りはね」
「多くのドライバーがエイドリアン・ニューイのマシンで勝っている。これは大きな要因だよ。エイドリアンはまさしく天才だ。シューマッハがいて、セナがいて、そしてニューイだ」
メルセデスAMGのニコ・ロズベルグも、ニューイとウェバーの存在がベッテルに対する正当な評価の妨げだと考えているようで、『Telegraph(テレグラフ)』に対し以下のように述べた。
「マークが素晴らしいドライバーで、とても良い人物であることは間違いないけれど、もしも彼(ベッテル)の隣にいるのがフェルナンド級のドライバーだったとしたら、彼の評価もまた違ったものとなっていただろうね」
ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)も「チームメートがキミ(ライコネン/ロータス)やフェルナンドで、それでもトップに君臨していたならば、彼(ベッテル)はもっと高く評価されてしかるべきだったろうね」とこの意見に同調している。