セバスチャン・ベッテル(レッドブル)とレッドブルが、それぞれドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権で4連覇をほぼ手中にしているいま、コンストラクターの2位争いが熾烈(しれつ)だ。
独走状態のレッドブルに大差をつけられてしまったが、フェラーリ、メルセデスAMG、そしてロータスの3チームがわずか33ポイント差の中でひしめき合い、激しい2位争いを繰り広げている。この2位争いは、言い換えれば約数億円をかけた戦いとも言える。コンコルド協定により、各チームが受け取る分配金は、順位によって数億円単位で変動するからだ。
メルセデスAMGのルイス・ハミルトンは、この争いの真っただ中に身を置く存在だが、ハミルトンの関心は、すでに11月のシーズン最終戦以降に向いているようだ。
ハミルトンはF1日本GP(13日実施)の期間中、2013年で何を1番楽しみにしているかと聞かれ、「クリスマス」と打ち明けている。これはファンにとっても同じようだ。興味をかき立てられるのはタイトル争いの行方ではなく、F1の歴代記録更新の方かもしれない。
例えば、ベッテルは現在、5戦連続で優勝中だ。皇帝と呼ばれたあのミハエル・シューマッハでさえ、7戦連続優勝は果たせなかった。
もし、ベッテルが次戦F1インドGP(27日決勝)で優勝し、今季ドライバーズ選手権のタイトルを確定させた後も、アブダビGP(11月3日決勝)、アメリカGP(11月17日決勝)、そして最終戦ブラジルGP(11月24日)と連勝を9まで伸ばせば、60年ぶりにアルベルト・ アスカリの記録に並ぶこととなる。
さらには、シューマッハが打ち立てたシーズン13勝の記録にも並ぶ。ハミルトンは、ベッテルならこれらの記録達成も可能だと考えている。
「もし彼(ベッテル)のクルマが信頼性の問題を抱えなければ、ほぼ間違いなく達成するだろうね。彼には楽勝さ」とハミルトンは語った。