レッドブルがついに、マーク・ウェバーに替わる2014年以降のドライバーとしてウェバーと同じオーストラリア人、ダニエル・リカルドの起用を発表。それまで燃え盛っていたストーブリーグ(※)は、これから一気に落ち着きそうだ。
オーストリアからの報道によると、リカルドはレッドブルと少なくとも3年の契約を結んだという。
チームのアドバイザー、ヘルムート・マルコは、レッドブル所有のテレビ局『Servus TV(セアヴスTV)』にこう話す。「われわれにとって重要なのは継続性だ」
「したがって契約は最低でも3年になる。ダニエルは候補ドライバーの中で最年少であるばかりか、潜在能力も最高だ」
セバスチャン・ベッテルの新チームメートとして、世界タイトル保持者のキミ・ライコネン(ロータス)や、あのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)も考慮に入れたと伝えられるレッドブルだが、チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、手塩にかけて育ててきたリカルドは「もっとも理にかなった選択」だったと語る。
チーフデザイナーのエイドリアン・ニューイは、どう考えているのか。「経験あるドライバーを選ぶこともできた。ある程度の成績を期待できるからね」
「あるいは、ぐっと若いドライバーを選ぶ手もあった。その場合、大きく育って欲しいという思いはある」
ニューイは、今回のドライバー選択を1992年当時のウィリアムズになぞらえる。その年、圧倒的な成績で初タイトルを決めたナイジェル・マンセルは、F1を辞めて活躍の場をアメリカ(CART:現インディカー)に求めたのだった。
「チーム的には、リカルド・パトレーゼのまま次の年を迎えるか、当時テストドライバーとして抱えていた若手のデイモン・ヒルにチャンスを与えるか、二者択一だった」
「若い血に賭けて、未来をしょく望される選手を登用するのは良いことだね」
その反面、4度目の世界タイトルに向けて爆進中のベッテルがチーム内での発言力を増している印象は否めない。
ドイツの『Welt(ヴェルト)』と『Bild(ビルト)』両紙は、リカルドのことを「実績ゼロのドライバー」と評している。
マルコも、ベッテルの影響力を次のように認めている。
「チームとして決めたものだ。したがって、当然セバスチャン(ベッテル)の意見も聞いたよ」
※ストーブリーグとは、ドライバーの移籍や契約更新の情報などをいう。