ピレリの2013年仕様タイヤが、これまでとは違う仕様となることを受け、F1にまた新たな論争が巻き起こっている。
F1第8戦イギリスGPで発生したタイヤ破裂問題を受け、F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、急きょ第9戦ドイツGPに、ケブラー製ベルトを用いた新タイヤを導入した。
さらに、ピレリでは次戦ハンガリーGP(7月28日決勝)及びそれ以降のレースには、2012年仕様の構造に2013年のコンパウンドを組み合わせた、まったく新しいタイヤを持ち込むとしている。
だが、ニュルブルクリンクで行われたドイツGPで優勝を飾った現F1チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、レース後に、ハンガリーGPで実際に使われるタイヤについては、まだ完全に決定されたわけではないと示唆していた。
また、ニュルブルクリンクに持ち込まれたタイヤで競争力を発揮したロータスでは、それらのタイヤを今後も使い続けたいとしている。
ロータスのチームオーナーであるジェラルド・ロペスは、フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙に対して次のように語った。
「素晴らしいレースだった。タイヤは今シーズン序盤の3分の1のレースのときと同じように機能していた」
「もし、タイヤが劇的に変わることになれば、それはF1の信頼性に大きな影響を及ぼすだろう。少なくとも、現時点ではこれらのタイヤに安全上の問題があるなんて誰も言ってはいないよ」
しかし、元の2013年仕様ピレリタイヤでは何の問題も抱えていなかったフォース・インディアは、ドイツGPで導入されたケブラー製ベルトによるタイヤに、そして、リアタイヤを左右入れ替えて使うことが禁止されたことによって明らかに苦戦を強いられていた。
そのフォース・インディアは、さらに2012年仕様の構造を持つタイヤに変更されることに対して不安を抱えている。
フォース・インディアのスポーティングディレクターであるオットマー・サフナウアーは、次のように語った。
「もし、過去の遺物(のようなタイヤ)を再び使うということになれば、今年のタイヤをうまく使いこなしていたわれわれの優位性が完全に失われてしまう」
「2013年用タイヤの仕様に特化して、クルマを設計したんだからね」
さらに、サフナウナーは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、フォース・インディアが2013年に初めてリアタイヤを左右入れ替えるという方法を発見したチームだと述べるとともに、ほかのチームがまねをしし、さらに極端な空気圧やキャンバー設定を組み合わせていたことで、左右入れ替えが禁止されることにつながったのだと不満を表している。
「われわれは決して低い空気圧にしたり、キャンバーをつけすぎたりはしていなかったのに」とサフナウナーは嘆いた。
フォース・インディアでは、現在急きょ2012年仕様のタイヤでうまく機能できるようにクルマの手直し作業を行っており、そのクルマは来週17日(水)からシルバーストンで行われる若手ドライバーF1テストにおいて初めてテストされることになっている。
「新しいタイヤがすべてを台無しにしてしまわないかと恐れているよ」とサフナウナーは付け加えた。