NEXT...F1開催スケジュール

F1ハンガリーGPに向け依然尾を引くタイヤ問題

2013年07月09日(火)9:15 am

F1第8戦イギリスGPの舞台シルバーストンで起こったタイヤバースト(破裂)による大混乱を受け、F1ドライバーたちは最悪の場合レースをボイコットする可能性も示唆するという状況になっていた。だが、ニュルブルクリンクで行われた第9戦ドイツGPでは、タイヤがふたたびバーストすることはなかった。

しかし、それでもF1公式タイヤサプライヤーのピレリは依然として話題の中心の座にいる。

ピレリはイギリスGPでの危機的状況に対し速やかに対応し、ケブラー製ベルトによる新たなリアタイヤの導入を急ぎ、その新しいタイヤがドイツGPで使用された。

そして、17日(水)からシルバーストンで開催される若手ドライバーF1テストを経て、今月末に開催されるハンガリーGP(7月28日決勝)には2012年型タイヤの構造に2013年仕様のコンパウンドを組み合わせた全く新しいタイヤが供給されることになっている。

だが、レッドブルのセバスチャン・ベッテルは、シルバーストンでのテスト結果によっては、ピレリがその考えを変えることになるかもしれないと示唆し、次のように語った。

「僕としては、ピレリはそれから決断をすることになると思うんだ。だから、現時点では、ハンガリーではどのタイヤを使うことになるのかはまだ分からないと思っている」

ロータスは、公平性という観点から、ピレリがケブラーを用いた新タイヤを導入することに反対していた。だが、ロータスは先週末のニュルブルクリンクにおいて、そのタイヤによって高い競争力を示すこととなった。

ロータスのチーム代表であるエリック・ブーリエは、「われわれはピレリに対し、ドイツGPで使用した仕様のタイヤを、シーズンの残りのレースにも使い続けるよう要請しなければならないと思っている」と語った。

どうやら、ここでまたタイヤに関する新たな議論が起きようとしているようだ。

例えば、メルセデスAMGはかねてからタイヤを変更するよう強く働きかけていた。以前のスチール製ベルトによるタイヤは、ケブラー製よりもオーバーヒートしやすいと考えられていたためだ。

だが、そのメルセデスAMGはドイツGPで明らかに新しいケブラー仕様のタイヤにてこずっていた。

ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)は、「最近はすごく好調だったのに、とても奇妙で、残念な週末になったよ」とコメント。

ポールポジションを獲得していたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)はさらに怒りを込めて次のように語っている。

「(発言は)自重しなくてはならないけど、今回のタイヤについては好意的なことは何も言えないよ」

「ザウバーを追い抜けないようじゃ、問題を抱えているってことだよ。予選では1秒以上も速かったんだからね」

メルセデスAMGのエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフも、ドイツの『Sky(スカイ)』に対し次のように述べている。

「ちょっと奇妙だよね。1週間前には優勝したクルマが、今回は5番手か6番手なんだから」

「われわれはシルバーストンでのテストができないから、その分考える時間はできるけれどね」とヴォルフは嫌味ともとれる冗談を付け加えた。

一方、メルセデスAMG同様にタイヤの変更を要求していたレッドブルだが、ドイツGPでは、ベッテルが強い走りを見せて優勝を飾っている。

「ピレリを称賛するよ」と語ったベッテルは、次のように続けた。

「前戦(イギリスGP)以後、彼らは強い非難を受けていた。でも、彼らはこのレースでその埋め合わせをしたように思う」

だが、ベッテルは、そのコメントはあくまでも「安全性」に関してのものだと主張し、「それ(タイヤ)が自分のクルマに合うとか合わないとかは二の次だよ」と付け加えている。

だが、レースの勝者にとっては、そう言うのも簡単なことだ。ロータス同様、最初はタイヤの変更に抵抗を示していたフェラーリのようなチームにおいては、いまだ結論は出ていない。

ロシアのウェブサイト『f1news.ru』に、今回のタイヤ変更がチーム間の力関係に影響を及ぼしたか、と尋ねられたステファノ・ドメニカリ(フェラーリ/チーム代表)は、「もちろんだ。どの程度かというところまではっきりとは言えないがね」と答えた。

だが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは当然ながら、逆の意見を持っているようだ。

『Speedweek(スピードウィーク)』に、「いや、そうは言えないね」と語ったマルコは、次のように続けた。

「全体的な状況は、ごく普通だったと思うね」

このところの騒ぎでやつれ気味のポール・ヘンベリー(ピレリ/モータースポーツ責任者)は、ドイツの放送局『RTL』に次のように述べている。

「われわれは、今シーズンのF1が抱えているいくつかの問題の犠牲者になってしまっている」

「私としては、F1はタイヤメーカーに対してもう少し思いやりがあってしかるべきだと思うね」

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック