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井原慶子「嵐のようなレースでした」/ル・マン24時間を振り返る

2013年07月08日(月)13:24 pm

ガルフレーシングでWEC(世界耐久選手権)を戦う井原慶子が、「本当に嵐のようなレースでした」とTopNewsの取材でル・マン24時間を振り返った。

今年のル・マン24時間は、悪天候に見舞われ、スピンやクラッシュが多発。レース序盤には、GTEアマクラスにアストンマーチンから出場していたアラン・シモンセンが亡くなる事故も発生していた。井原によると、今年のル・マンでは、多くのドライバーが危険を感じていたという。

「今まで何十回も出ているドライバーに聞いても、今までで一番難しいル・マンだったと言うくらいでした」とTopNewsに語った井原は、こう続けている。

「ドライバーズ・ブリーフィングの時、ほとんどのドライバーが急に言い出したことがあったんです」

「2週間前に開発テストがあって、そのときも雨でした。いつも、ピット側は雨が降っていなくて、森のほうで降っているんです。たぶん、ル・マンの地形上そうなっているんですね」

「森のミュルザンヌのストレートで雨が降っていると、例えばGTの後ろをLMP2が走っていると、GTが巻き上げる水で全然見えなくなるんです。その後ろをLMP1が走ると、前が見えないからどこで抜いていいか分からなくなります。本当に2台前が見えない状態なので、危険すぎるとあるドライバーが言い出したんです」

「そしたら、みんなミュルザンヌは怖いと言い出して。なんだ、私だけじゃなくてみんな怖かったんだと思いました。でも、あそこは危ないから、フリー走行の時から雨が降ったらセーフティカーを出すべきだなど、いろんな意見が出るくらいの状態でした」

「普通のサーキットだったら、(前が)見えなくても感覚的に分かりますし、路面もスムーズなので、そんなに危険ではないんです。でも、時速250km以上の速度域はなかなかないんです。もちろん、スパや富士のストレートの最後では出ますが、250km、300km以上が何秒も出るところはあまりないんです」

「250Km以上になると、マシンの挙動がすごく変わってくるんですよ。マシンの挙動が難しい中で、しかも大雨で見えない。そうなると身の危険を感じていて、そこにみんな難しさや危なさを感じていました」

井原が所属するガルフレーシングは、残念ながらリタイアになっていた。リタイア原因は、尋常ではない振動が発生していたためだと井原は説明してくれた。

「決勝当日朝のウォームアップでも、すでに少し振動が出ていたんですが、それはエンジンやタイヤ、空力系の問題など、レーシングカーの通常の振動でした。決勝が始まって、初めはそのくらいの振動で済んでいたんです。その後、セーフティカーが1時間以上入って、その間はスロー走行なので問題は起きていなかったんですが、セーフティカーが解除になって数周全開走行すると急に、時速250km以上になるとドライバーもシートごと飛び出るんじゃないかというほどの振動が起きて、すぐにピットインしました」

これで第1ドライバーがピットインすると、チーム側はル・マン仕様のパーツが原因になっていると推測し、パーツ交換を行い、井原がドライバーを務めて再びコースに向かった。しかし、問題は解決していなかったという。

「230kmを超えると、自分も飛び出てクルマもバラバラになるんじゃないかと思うくらいの振動が起きました。すぐにピットインして、最終的にはルール上替えられるパーツは全部替えて出ていったんです。それでも状況は変わっていなくて、それどころか、アウトラップだけで振動のせいでたくさんの新パーツに亀裂が入るほどでした」

「普通のレースなら、もっと早くあきらめているくらい、大地震のような振動でした。(ドライバーが)3人とも、今までのレース人生で経験したことがないと言うほどでした」

結局、何度かパーツの総入れ替えを行ったものの、トラブルは解決できずに無念のリタイアとなった。しかし、井原はすでに次の戦いを見据えており、序盤戦に比べてスケジュール的にも厳しい後半戦のため、身体作りをやり直して万全の体制で今後の戦いに挑んでいくと語った。

「チームは今、トラブルの原因究明とメンテナンスをしているので、その間に私は、もう一度身体を作り直したいなと思っています」

「後半は5連戦でかなり厳しく、ブラジルなどは非常に遠くて、スケジュールだけでも、海外転戦プラス5連戦というところで身体的に負担がかかると思います。耐久レースといえど、表彰台に上るには、全開で走らないといけないと思うので、初めはゆっくり休んでから身体を作り直します」

「まずは完走ですね。今後のすべてのレースで完走したいと思っています。もちろん入賞したいと思っていますが、ちゃんと完走できれば表彰台のチャンスもあると思います」

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【著書】崖っぷちの覚悟―年齢制限!?関係なし!
【日程・結果】2013年FIA WEC(世界耐久選手権)
【面談】井原慶子x笹原右京「世界へ挑戦する」崖っぷちの“面談”が実現

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