タイヤの安全問題が懸念材料となっている今週末のF1ドイツGPだが、もし仮にF1ドライバーたちがレースをボイコットすることになった場合、F1で走るために必要なスーパーライセンスがはく奪されることになるかもしれない。
F1最高責任者のバーニー・エクレストンは、ドイツGPの開催地であるニュルブルクリンクで『Die Welt(ディー・ヴェルト)』紙へ次のように語った。
「彼ら(F1ドライバーたち)の立場は理解できる」
「信用を失うのは、ピレリでもなければ私でもない」
「だが、何かを考えるのと、実際にそれを実行するのとでは、大きな違いがある」
「もし彼らがレースをボイコットしても、それは誰のためにもならないし、早期に問題を解決することにもつながらない。そして、彼らはスーパーライセンスを失うことになるかもしれない」
F1ドライバーによる団体GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)に加わらず、わが道を行くといった感じのキミ・ライコネン(ロータス)だが、ブラジルの『Totalrace(トータルレース)』に対し、自分はボイコットには加わらないと次のように語った。
「誰でも自分の意見を持っているんだ」
「僕は、自分がそうしたければレースをする。ただそれだけさ」
幸いなことに、5日(金)に行われた合計3時間のフリー走行では、タイヤに問題が発生することなく、スムーズに終えることができていた。ピレリと統括団体FIA(国際自動車連盟)による迅速なタイヤ変更により、シルバーストンで発生したタイヤの問題は解決されたかのように見える。
メルセデスAMGのニコ・ロズベルグも5日に「ああいう問題がまた起こることはほとんど考えられないよ」、と語った。
エクレストンは、論争のさなかにあるピレリを擁護し、次のように語った。
「タイヤサプライヤーは、それがどこであれ、適正にテストすることができなければ、信頼性のあるタイヤを開発することはできない」
エクレストンはさらに、2013年のシルバーストンと、アイルトン・セナの死により、ドライバーの安全問題が最重要課題として取り上げられた1994年のイモラを比較しながら、次のように続けている。
「(イモラは)非常に悲しい出来事だった。だが、その後多くの命がそれによって救われたんだ。今回のタイヤ問題もそれと同じだよ」
「幸いなことに、誰一人ケガをする者はいなかった。だが我々はそのことをすぐに教訓としなければならない。それが(タイヤ破裂問題の)唯一前向きなことだ」