2014年F1に導入される1.6リットルV6ターボエンジン。エネルギー回生システムを導入し、現行の2.4リットルV8自然吸気エンジンに比べて音が静かになると同時に、スピードも遅くなると思われていた。
ところがミハエル・シュミット記者の報告によると、音に関してはともかく、パワーに関してはそうでもないという。
今季のKERS付きエンジンは、およそ800馬力。トルクは約350N・m(35.69kg・m)だ。ターボエンジンの性能について、ルノー、メルセデス、フェラーリの3メーカーの口が堅いのはいうまでもない。そこでシュミットはピレリに取材を敢行。同社の予想では、予選ブーストで最大900馬力を絞り出すだろうとのことだ。
しかもトルクは600N・m(61.18kg・m)と、劇的に増すという。ピレリのモータースポーツ責任者ポール・ヘンベリーはこう語っている。
「今のところ、われわれには何も予想できない」
「それでも、耳にしている数値はとんでもないものだ。われわれとしては、後輪の幅を広げるしかないだろう。だが、どれほど広くするかはチームと協議のうえ決めなくてはならない」
だが来年のF1は、減りの激しいタイヤに振り回されることはなさそうだ。ヘンベリーは次のように話す。「新規則の初年度だけに、手がたく行くよ」
28日(金)、各チームは雨の中、実験的要素の濃いハードコンパウンドを初めて試したが、フェリペ・マッサ(フェラーリ)はウエット路面に足をすくわれてクラッシュ。マッサによると原因は冷えたタイヤだった。
だが減り具合はとても少なかったというヘンベリー。
「レッドブルなら、このタイヤを気に入っただろうにね」と、ヘンベリーは笑う。「残念ながら彼らは試さずじまいだったんだ」