秘密F1タイヤテストを行い、FIA(国際自動車連盟)の国際法廷で有罪とされながらも、軽い処分のみとなったメルセデスAMG。これに対し、レッドブルも批判を述べた。
このテスト問題に関してFIAに正式に抗議申し立てをしていたフェラーリとレッドブルは、メルセデスAMGに対する処分が7月に予定されている若手ドライバーテストの実施禁止のみで終わったことに落胆の色を隠せないようだ。辛らつなコメントで知られるフェラーリのコラム「跳ね馬のささやき」も今回は、あたかも自分たちが敗者となったかのように、この判決に対する怒りを表している。
メルセデスAMGの会長であるニキ・ラウダと、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、この裁判で負けたほうが相手に50ユーロ(約6,400円)を払うという賭けを行っていた。
だが、ラウダはマルコに対して、メッセージを送ってきただけだったという。
「罰則は罰則だ」と『Bild(ビルト)』に語ったマルコは、「彼は金を同封すべきだったよ」と続けた。
だが、マルコは、この件に関して実際に「勝者」となったのはラウダのほうだとし、陪審団が下した処分については「冗談」だと述べ、次のように付け加えた。
「われわれはもっと厳しい裁定が下されることを期待していた」
『Bild(ビルト)』紙によると、レッドブルはメルセデスAMGに対してもっと重い処分が下されるべきと考えていたようだ。かつて「スパイゲート」事件の際にマクラーレンに対して課されたのと同額の1億ドル(現在のレートで約98億円)の罰金と、コンストラクターズポイントを150点はく奪という処分を希望していたという。
だが、結果はメルセデスAMGにとって満足できるものとなった。
メルセデスAMGの首脳であり、オーナーのひとりでもあるトト・ヴォルフは次のように語った。
「安心したよ。だが、シャンパンの栓を抜くのは、サーキットで勝ったときだけだ」
そしてラウダも、「FIAの判決はまったく正しいものだし、モータースポーツの精神にのっとっている」と付け加えている。
だが、そのラウダは、もしもっと厳しいペナルティーが下されたとしても、メルセデスAMGはそれを受け入れていただろう、と主張した。
また、ラウダは『Welt am Sonntag(ヴェルト・アム・ゾンターク)』紙に対し、「間違いなく、より厳しい判決を求めて上訴されることはないだろう」と語り、次のように続けた。
「私はこのスポーツと何十年もかかわってきたし、常に気にかけてきたのはチーム間の調和と相互に尊重し合うことだった」
「こういう、技術が大きな役割を占めるスポーツにおいては、常に誤解が生じたり、解釈の余地が生まれることがある。それはまったく正常なことなんだ」、とラウダは締めくくった。